OAK試験の日本人サブグループ解析

 抗PD-L1抗体、Atezolizumabを二次治療で使用して、ドセタキセルと比較した第III相試験、OAK試験の日本人サブグループ解析結果が2017年日本肺癌学会で公表された模様。

 Atezolizumabの効果もさることながら、標準治療のドセタキセル群ですら生存期間中央値が17ヶ月(約1年半)得られているというのも、個人的には結構驚き。

 我々の知らないところで、生存期間延長につながる何か他の因子(支持療法の効果)が働いているのかもしれない。

 

<非小細胞肺がんへのatezolizumab、OAK試験の日本人解析> 日本肺癌学会2017

 OAK試験は、プラチナ製剤を含む化学療法中または後に増悪した局所進行・転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者1,225例を対象に、抗PD-L1抗体atezolizumabの有効性と安全性をドセタキセルと比較検討したオープンラベル無作為化試験。主要評価項目は、全患者およびPD-L1で選別されたサブグループ患者の全生存期間(OS)、副次評価項目は奏効割合(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、安全性などだった。全集団における解析では、ドセタキセル群と比較してOSを4.2ヵ月延長し(OS中央値:13.8ヵ月 vs.9.6ヵ月、ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.62〜0.87)、良好な安全性が示されている。

 日本人集団(OS解析対象の64例)のOS中央値はatezolizumab群で21.3ヵ月、ドセタキセル群で17.0ヵ月、ハザード比は0.80(95%CI:0.41〜1.57)であり、全集団同様PD-L1の発現状態にかかわらず、atezolizumab群で改善が認められた。

 有害事象については日本人101例を対象に解析され、Grade 3 以上の有害事象の発現率はatezolizumab群が26.8%、ドセタキセル群が91.1%とatezolizumab群で低かったが、免疫関連有害事象を含む投与中止に至った有害事象についてはatezolizumab群で多かった(17.9% vs.6.7%)。外国人集団との比較においては、Grade 3 以上の有害事象は日本人集団で少なかった(26.8% vs.40.1%)。日本人集団で多くみられたのは発熱(35.7%)、鼻咽頭炎(19.6%)などであった。