・KEYNOTE-024 data more updated...5年生存割合31.9%はおろか、81.4%って...

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 TPSが50%以上の患者に対する初回ペンブロリズマブ単剤療法の有効性を検討したKEYNOTE-024試験について。

 ドライバー遺伝子変異のない進行期非小細胞肺がんに対する初回薬物療法の考え方を大きく転換させた臨床試験で、これまで何度となく取り上げてきました。

 

http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e856772.html

http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e874097.html

http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e906138.html

http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e914135.html

http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e963874.html

 

 2020年の欧州臨床腫瘍学会総会において、最新のデータが公表され、いよいよ5年生存割合が示されました。

 ペンブロリズマブ群での5年生存割合が31.9%というのは驚きですが、化学療法群での5年生存割合が16.3%というのに、さらに驚きます。

 IV期の非小細胞肺がん患者さんのうち、TPSが50%以上なら、ペンブロリズマブで治療を開始すれば3人に1人、化学療法で治療を開始しても6人に1人は5年生存するという、我々のようにプラチナ併用化学療法しか選択肢がなかった世代からすると、非現実的な現実です。

 ペンブロリズマブ群のうち、既定の35コースを完遂した患者さんに限って言えば、5年生存割合はなんと驚愕の81.4%です。

 今後は、この結果を基礎データとして患者さん・ご家族に話さなければなりません。

 TPSが50%以上なら、この程度の治療成績は達成できて当たり前、というのは、治療を担当する立場から言えば、結構なプレッシャーです。

 

 

LBA51 - KEYNOTE-024 5-year OS update: First-line (1L) pembrolizumab (pembro) vs platinum-based chemotherapy (chemo) in patients (pts) with metastatic NSCLC and PD-L1 tumour proportion score (TPS) ?50%

 

Julie R. Brahmer et al., ESMO 2020 Abst.#LBA51

 

背景:

 KEYNOTE-024試験において、EGFR/ALK感受性遺伝子異常のないPD-L1-TPS≧50%の進行非小細胞肺がん患者に対する初回治療として、化学療法に対するペンブロリズマブの優越性が示された。今回は、5年の追跡期間を経てのKEYNOTE-024試験の有効性、安全性に関する最新データを公表する。

 

方法:

 適格患者をペンブロリズマブ単剤療法群(ペンブロリズマブ200mgを3週ごとに投与、最大35コース=2年間まで)と化学療法群に無作為に割り付けた。割付調整因子はECOG-PS(0 / 1)、組織型(扁平上皮がん / 非扁平上皮がん)、地域(東アジア / それ以外)とした。化学療法群に割り付けられた患者が、プロトコール治療開始後病勢進行に至り、条件を満たした場合にはペンブロリズマブ単剤療法へクロスオーバー可能とされていた。ペンブロリズマブ群に割り付けられ、2年間のプロトコール治療を完遂した、もしくは完全奏効に至ったためプロトコール治療を途中終了した患者が病勢進行に至った場合には、ペンブロリズマブ単剤療法を再開してよいこととした。主要評価項目は無増悪生存期間で、副次評価項目は全生存期間、奏効割合、安全性、探索的評価項目は奏効持続期間とした。今回の解析においては、奏効もしくは病勢進行は、RECIST v1.1の基準に従い、担当医により評価された。

 

結果:

 305人の患者がペンブロリズマブ群(154人)と化学療法群(151人)に無作為に割り付けられた。無作為割付からデータカットオフ時点までの期間中央値は59.9ヶ月(55.1-68.4ヶ月)だった。化学療法群に割り付けられた患者のうち83人(55%)は、クロスオーバーによりペンブロリズマブを投与された。ITT解析における有効性評価、あるいはペンブロリズマブ群において、35コースの治療を完遂した154人中39人(25.3%)の患者における有効性評価の結果を表に示した。また、154人中12人はペンブロリズマブの再投与を受けた。Grade 3-5の治療関連有害事象は、ペンブロリズマブ群の31.2%、化学療法群の53.3%で認められた。

 

結論:

 ペンブロリズマブは、化学療法と比較して引き続きPD-L1-TPS≧50%の進行非小細胞肺がん患者における生命予後改善効果を示した。高いクロスオーバー率にもかかわらず、5年生存割合はペンブロリズマブ群で31.9%、化学療法群で16.3%と、ペンブロリズマブ群でほぼ2倍に延長していた。Grade 3-5の有害事象は、ペンブロリズマブ群の方が頻度が少なかった。ペンブロリズマブ単剤療法によって、長期にわたる生存と持続する腫瘍縮小効果が認められた。