・KEYNOTE-042試験 5年間追跡調査後

 PD-L1≧1%以上の進行非小細胞肺がん患者さんを対象に、ペンブロリズマブ単剤療法の有効性を検証したKEYNOTE-042試験、5年間追跡調査後の結果が報告されていました。

 

 個人的に考えるポイントを3つ挙げれば、以下の通りです。

・ペンブロリズマブ単剤療法を自信を持って勧められるのは、TPS≧50%の患者集団のみ

・TPS 1-49%の患者集団には、効果がやや劣る

・TPS 1-49%の患者集団には、化学療法+免疫チェックポイント阻害薬の併用療法が望ましい

 

 

 

Five-Year Outcomes With Pembrolizumab Versus Chemotherapy as First-Line Therapy in Patients With Non-Small-Cell Lung Cancer and Programmed Death Ligand-1 Tumor Proportion Score ≥ 1% in the KEYNOTE-042 Study

 

Gilberto de Castro Jr et al
J Clin Oncol. 2022 Oct 28;JCO2102885. 
doi: 10.1200/JCO.21.02885. 
Online ahead of print.

 

要約:
 第III相KEYNOTE-42試験の5年間追跡調査後の結果を報告する。本試験の対象は、EGFR遺伝子変異やALK融合遺伝子を持たないPD-L1発現スコア(TPS)≧1%の進行もしくは局所進行非小細胞肺がん患者だった。対象者はペンブロリズマブ200mgを3週間に1度、最長35コースにわたって投与する群(Pembro群)と、カルボプラチン+パクリタキセル併用療法もしくはカルボプラチン+ペメトレキセド併用療法(ペメトレキセド維持療法オプション付き)のいずれかを、4-6コースにわたって投与する群(Chemo群)に割り付けられた。主要評価項目はTPS≧50%、TPS≧20%、TPS≧1%の各患者集団における全生存期間とした。Pembro群において、35コースの治療完遂後も病勢安定以上の治療効果が得られていたものについては、病勢進行時の二次治療としてペンブロリズマブ再投与可能とした。1,274人の患者が両群に無作為割付された(Pembro群637人、Chemo群637人)。追跡期間中央値は61.1ヶ月(範囲:50.0-76.3)だった。TPSによらず、Pembro群が優位に生存期間を延長していた(ハザード比(95%信頼区間)はTPS≧50%集団で0.68(0.57-0.81)、TPS≧20%集団で0.75(0.64-0.87)、TPS≧1%集団で0.79(0.70-0.89))。Pembro群における5年生存割合は、TPS≧50%集団で21.9%、TPS≧20%集団で19.4%、TPS≧1%集団で16.6%だった。Pembro群において、35コースの治療を完遂した102人の患者における奏効割合は84.3%、病勢進行後にペンブロリズマブ再投与を受けた患者33人における、病勢進行後の奏効割合は15.2%だった。

 

本文及び添付資料より

・Pembro群において、35コース治療完遂した患者集団では、TPS≧50%は64.7%を占める一方で、TPS 20-49%集団は13.7%、TPS 1-19%集団は21.6%に留まった

・Pembro群において、35コース治療完遂した患者集団では、放射線治療歴の患者が16.7%を占めていた

・Pembro群のうち、プロトコール治療終了後に後治療を受けた患者は46.2%を占め、うち5.0%は抗PD-1 / 抗PD-L1治療を受けた

・Chemo群のうち、プロトコール治療終了後に後治療を受けた患者は49.3%を占め、うち23.1%は抗PD-1 / 抗PD-L1治療を受けた

・Pembro群における5年生存割合は、TPS≧50%集団で21.9%、TPS≧20%集団で19.4%、TPS≧1%集団で16.6%、Chemo群における5年生存割合は、TPS≧50%集団で9.8%、TPS≧20%集団で10.1%、TPS≧1%集団で8.5%だった

・PFS2(無作為割付時点から後治療後の病勢進行もしくは患者死亡までの期間)に関するハザード比は、TPS≧50%集団で0.64(95%信頼区間0.54-0.76)、TPS≧20%集団で0.67(0.58-0.78)、TPS≧1%集団で0.74(0.65-0.83)だった

・TPS 1-49%の患者を対象とした探索的検討では、OSに関するハザード比は0.88(95%信頼区間0.75-1.04)で、5年生存割合はPembro群で11.9%、Chemo群で7.4%だった

・Pembro群において、35コース治療完遂した患者は102人(16.0%)おり、奏効割は84.3%、データカットオフ時点で34人(33.3%)が死亡していた一方で、41人(40.2%)は病勢進行することも次治療を必要とすることもなく生存していた

 

 過去の記事です。

 個人的には、TPS 50%未満の方にはペンブロリズマブ単剤療法はあまりお勧めしません。

oitahaiganpractice.hatenablog.com