・KEYNOTE-042がKEYNOTE-024の結果を追認

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 2018 ASCO plenary sessionで取り扱われ、あちこちで取り沙汰されているKETNOTE-042試験について。

 製薬会社のプレスリリースや発表の要約を見ると、

 「いよいよPD-L1≧1%の患者でも初回治療から使えるようになってしまうのか?」

と考えがちですが、PD-L1≧50%の患者群のデータと、PD-L1 1-49%の患者群のデータを比較すればわかるように、結局PD-L1≧50%の患者しか恩恵を受けられていません。

 KEYNOTE-024の結果を追認した、ということに留まるようです。

 多分、見る人が見れば、試験結果が出た後のマーケティング戦略まで見通した、製薬会社主導の臨床試験デザインだったんだなあ、とあちこちに感じることでしょう。

 

 後々、本試験のデザインは、批判の対象となるかもしれません。

 我々解釈する側のリテラシーが問われています。

 

 

 

2018 ASCO: KEYNOTE-042 Trial Compares Pembrolizumab With Chemotherapy as First-Line Treatment of NSCLC With PD-L1 Expression of 1% or More(Abst.# LBA4)

 

背景:

 KEYNOTE-024試験では、PD-L1≧50%、ドライバー遺伝子変異を持たない進行非小細胞肺がん患者に対する初回治療として、ペンブロリズマブ単剤療法が化学療法を無増悪生存期間、全生存期間の双方で上回ることが明らかとなった。今回のKEYNOTE-042試験では、ハードルをPD-L1≧1%まで下げて同じことをやってみた。

 

方法:

 ペンブロリズマブ群(ペンブロリズマブ200mg/回を3週間ごとに投与、最大35サイクルまで)あるいは化学療法群(カルボプラチン+パクリタキセルもしくはカルボプラチン+ペメトレキセド±ペメトレキセド維持療法(腺癌の場合のみペメトレキセド選択可)、最大6サイクルまで)に、患者を1:1の比率で無作為割り付けした。割り付け調整因子は地域(東アジア vs それ以外)、ECOG-PS(0 vs 1)、腫瘍組織型(扁平上皮癌 vs 非扁平上皮癌)、PD-L1発現状態(≧50% vs 1-49%)とした。主要評価項目はPD-L1発現状態ごと(TPS≧50%の群、TPS≧20%の群、TPS≧1%の群)の全生存期間とした。全生存期間の差はlog-rank検定で検出した。2回目の中間解析時点での有意水準はそれぞれp=0.0122、p=0.01198、p=0.01238とした。

 

結果:

 1,274人の患者が無作為割り付けされ、各群637人が割り付けられた。PD-L1≧50%が599人(47.0%)、PD-L1≧20%が818人(64.2%)だった。追跡期間中央値12.8ヶ月の段階で、ペンブロリズマブ群の13.7%、化学療法群の4.9%がプロトコール治療を継続していた。ペンブロリズマブ群は有意に全生存期間を改善した(PD-L1≧50%群でハザード比0.69、PD-L1≧20%群でハザード比0.77、PD-L1≧1%群でハザード比0.81)。Grade 3以上の有害事象はペンブロリズマブ群でより低頻度だった(17.8% vs 41.0%)。独立データモニタリング委員会は、無増悪生存期間の評価を継続している。