KEYNOTE-010試験の長期追跡結果・・・2年間の治療完遂後と、再投与の効果

 本文を読んでいないので細かい内容がわからないけれど、長期間ペンブロリズマブの治療を継続できた患者では、その後かなり長い間治療効果が続き、病勢進行後もペンブロリズマブの再投与によってある程度の治療効果が期待できるようだ。

 私の患者も、2,019年11月ごろにペンブロリズマブの二次治療後によって薬剤性間質性肺炎を来し、2,020年を迎えるのは難しいかと危ぶんでいたが、その後は支持療法のみで経過観察しているにもかかわらず、今もまだ頑張っている。

 ベッドサイドにはツバキやウメなど季節の生花が飾られていたが、そろそろサクラに切り替わりそうだ。

Long-Term Outcomes and Retreatment Among Patients With Previously Treated, Programmed Death-Ligand 1?Positive, Advanced Non?Small-Cell Lung Cancer in the KEYNOTE-010 Study

Roy S.Herbst et al., J Clin Oncol 2020

https://doi.org/10.1200/JCO.19.02446

目的:

 治療歴があり、PD-L1を発現している進行非小細胞肺がん患者に対するKEYNOTE-010試験において、TPS≧50%(がん細胞のうちPD-L1を発現する細胞が50%以上認められる)の患者集団、およびTPS≧1%(がん細胞のうちPD-L1を発現する細胞が1%以上認められる)の患者集団ではペンブロリズマブがドセタキセルに対して生存期間延長効果を示した。今回は、KEYNOTE-010試験参加者の長期追跡結果を、35コース/2年間の治療を完遂した患者、あるいはペンブロリズマブによる二次治療を受けた患者を含めて報告する。

方法:

 1,033人の患者がペンブロリズマブ群(P群)、ドセタキセル群(D群)に無作為に割り付けられた。P群690人では、344人がペンブロリズマブを2mg/kgで、346人が10mg/kgで3週間隔、最長35コース/2年間投与された。D群343人では、ドセタキセルを75mg/?の投与量で、3週間隔で投与された。P群で35コース/2年間の治療を完遂し、その後病勢進行した場合には、最長17コースのペンブロリズマブ二次治療を行えることになっていた。主たる評価の際にペンブロリズマブの投与量による治療効果の差が検出されたため、ペンブロリズマブの総投与量を記録に残した。

結果:

 ペンブロリズマブの有意性は長期追跡調査の後も保たれていた。経過観察期間中央値は42.6ヶ月(35.2-53.2ヶ月)で、D群に対するP群の生存期間延長効果の優位性は、TPS≧50%の患者群ではハザード比0.53、95%信頼区間0.42-0.66、p<0.00001で、TPS≧1%の患者群ではハザード比0.69、95%信頼区間は0.60-0.80、p<0.00001だった。3年生存割合は、TPS≧50%の患者群ではP群34.5%、D群12.7%で、TPS≧1%の患者群ではP群22.9%、D群11.0%だった。Grade 3-5の治療関連有害事象は、P群で16%、D群で37%に認めた。P群690人のうち、35コース/2年間のプロトコール治療を完遂したのは79人だった。プロトコール治療完遂後の1年生存割合は98.7%(95%信頼区間は91.1-99.8%)、1年無再発生存割合は72.5%(95%信頼区間は59.9-81.8%)だった。79人のうち、75人(95%)の患者では奏効が確認され、その75人のうち48人(64%)では奏効が持続していた。この79人において、Grade 3-5の治療関連有害事象を認めたのは17.7%だった。79人のうち、14人の患者はペンブロリズマブによる二次治療を受けて、5人は17コースのプロトコール治療を完遂し、6人(43%)で部分奏効を、5人(36%)で病勢安定を示した。

結論:

 既治療、PD-L1陽性の進行非小細胞肺がん患者に対して、ペンブロリズマブはドセタキセルと比較して長期にわたる全生存期間延長効果を示し、安全性の面でも優れていた。2年間の治療を受けた患者では長期に持続する治療効果が認められ、ペンブロリズマブによる二次治療においても病勢コントロールが得られた。