2022年世界肺癌会議からの注目演題紹介、というセッションだったと思います。
内容もさることながら、今年度修行先から大分に帰ってこられた先生が堂々と発表しておられたので、頼もしい限りだなあ、と感じ入りながら拝見しました。
・EGFR-TKI既治療EGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がん患者さんに対し、amivantamab+lazertinib+化学療法を施行した際の治療成績
奏効割合 50%(95%信頼区間27-73)
脳転移を有する患者集団での奏効割合 50%(95%信頼区間19-81)
・MARIPOSA-2試験、現在進行中
EGFR遺伝子変異(Exon19欠失変異もしくはExon21点突然変異)陽性進行非小細胞肺がんで、オシメルチニブ単剤療法後に病勢進行した患者を対象に、
A群:amivantamab+lazertinib+化学療法群
B群:化学療法群
C群:amivantamab+化学療法群
の3群を比較する第III相試験、主要評価項目は無増悪生存期間
・PAPILLON試験、現在進行中
EGFR exon20挿入変異陽性の進行非小細胞肺がん患者を対象に、
A群:amivantamab+化学療法
B群:化学療法群
の2群を比較する第III相試験、主要評価項目は無増悪生存期間
・TROPION-Lung02試験
Dato-DXd=Datopotamab(抗TROP2-IgG1モノクローナル抗体)とDeruxtecanを結合させた抗体薬物複合体
TROPION-Lung02試験は、ドライバー遺伝子変異のない進行非小細胞肺がん患者を対象に、Dato-DXd+ペンブロリズマブ±プラチナ併用化学療法の安全性を評価する第Ib相試験で、まずDato-DXd+ペンブロリズマブ併用療法(doublet、40人)の安全性を確認してから、Dato-DXd+ペンブロリズマブ+プラチナ併用化学療法(triplet、48人)の評価に移る設計だった
doubletでは、Grade3以上の有害事象は40%(16/40)、治療関連死は5%(2/40)、Grade3以上の薬剤性肺障害は3%(1/40)に認めた
tripletでは、Grade3以上の有害事象は60%(29/48)、治療関連死は2%(1/48)、Grade3以上の薬剤性肺障害は2%(1/48)に認めた
2022年5月2日のデータカットオフ時点で奏効割合評価可能だった患者において、doublet(評価対象38人)の奏効割合は37%、病勢コントロール割合は84%、triplet(評価対象37人)の奏効割合は41%、病勢コントロール割合は84%だった
治療歴のない患者のサブグループでは、doublet(評価対象13人)の奏効割合は62%、病勢コントロール割合は100%、triplet(評価対象20人)の奏効割合は50%、病勢コントロール割合は90%だった
二次治療としてプロトコール治療を行った患者のサブグループでは、doubletの奏効割合は24%、tripletの奏効割合は29%だった