・その後のCHRYSALIS-2試験・・・オシメルチニブ耐性化後のAmivantamab+Lazertinib併用療法

 


 オシメルチニブも化学療法も卒業したEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん患者さんに対するAmivantamab+Lazertinib併用療法。

 我が国では、以下のリンクにあるようにオシメルチニブ耐性となったあと、本併用療法にプラチナ併用化学療法を併用した場合、プラチナ併用化学療法のみの場合と比較して無増悪生存期間を延長できるかどうかという第III相試験が進んでいるようです。

 

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 今回取り上げるのは、オシメルチニブもプラチナ併用化学療法も、標準治療としてできる治療はもうやり終えた、という患者さんを対象に、Amivantamab+Lazertinib併用療法の有効性を検証した臨床試験に関するものです。

 報告としてはまだ途中経過の段階ですが、奏効割合は30-40%、病勢コントロール割合(≒臨床的有効割合)は50-60%程度と見ていいでしょう。

 

 

 

Amivantamab and lazertinib in patients with EGFR-mutant non–small cell lung (NSCLC) after progression on osimertinib and platinum-based chemotherapy: Updated results from CHRYSALIS-2.

 

Catherine A. Shu et al.

ASCO 2022, abst.#9006

DOI:10.1200/JCO.2022.40.16_suppl.9006

 

背景:

 標準治療であるオシメルチニブ内服、プラチナ併用化学療法を行った後に病勢進行したEGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がん患者に対する、Amivantamab(ami)とLazertinib(laz)の併用療法の初回解析結果は有望だった(Shu et al., Ann Oncol 2021; 32: S949-1039; abst.#1193MO)。今回はCHLYSALIS-2試験のコホートAについて、最新解析結果を報告する。

 

方法:

 コホートAでは、EGFRエクソン19欠失変異もしくはエクソン21L858R点変異陽性非小細胞肺がん患者で、以下の治療後に病勢進行に至った患者を対象とした。L群:1次もしくは2次治療でオシメルチニブを使用し、その後に試験参加前の最終治療としてプラチナ併用化学療法を受けた患者(予定組み入れ数106人)。H群:オシメルチニブやプラチナ併用化学療法、さらにはその他の治療を、レジメン数や治療順によらずより濃厚に受けた患者(予定組み入れ数56人)。対象者は1,050mgのami(体重80kg以上なら1,400mg)の経静脈投与と、240mgのlazの内服投与を受けた。2021年05月17日以前にプロトコール治療を開始し、6ヶ月以上にわたって持続的に治療反応性を評価できた患者を対象に、RECIST ver.1.1にのっとって担当医および独立効果判定委員会が有効性を評価した。

 

結果:

 2021年11月6日までに、162人の患者がコホートAに組み入れられた(年齢中央値62歳、女性が全体の65%を占め、アジア人が全体の61%を占め、既往のがん薬物療法レジメン数中央値は3(範囲は2-14)だった。オシメルチニブ最終投与からami+laz併用療法開始までの期間中央値は、L群で6.3ヶ月、H群で2.0ヶ月だった。有効性評価可能だった50人の患者において、独立効果判定委員会評価による奏効割合は36%(95%信頼区間23-51)で、完全奏効は(CR)1人、部分奏効は(PR)17人だった。臨床的有効割合(CR+PR+SD(病勢安定)割合)は58%(95%信頼区間43-72)だった。奏効持続期間中央値は、解析時点では未到達だった。追跡期間中央値8.3ヶ月の段階で、7人(39%)は6ヶ月以上の奏効持続を達成していた。担当医評価と独立効果判定委員会評価は概ね一致していた。H群のうち、有効性の評価が可能な56人(追跡期間中央値8.7ヶ月)において、担当医評価による奏効割合は29%(95%信頼区間17-42)、CR1人、PR15人だった。臨床的有効割合は55%(95%信頼区間42-69)で、奏効持続期間中央値は8.6ヶ月(95%信頼区間4.2-未到達)だった。独立効果判定委員会による評価はこの時点では持ち越しとなった。予備的な評価ではあるが、中枢神経系における抗腫瘍効果が8人(中枢神経系転移巣は、7人で非標的病変、1人で標的病変)の患者で報告され、この8人は本試験参加から遡ること1年以内に放射線治療を受けていなかった。頻度の高かった有害事象はインフュージョンリアクション65%、爪囲炎49%、発疹41%、胃炎39%だった。頻度の高かったGrade3以上の有害事象はインフュージョンリアクション7%、挫創様皮疹5%、低アルブミン血症4%だった。amiもしくはlazの中止に至る有害事象は12%、両者とも中止に至る有害事象は7%で発生した。

 

結論:

 標準治療であるオシメルチニブとプラチナ併用化学療法を行い耐性となったEGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がん患者において、ami+laz併用療法は有望な治療効果と管理可能な毒性を示した。

 

 

 関連記事です。

 アミバンタマブについては、EGFRエクソン20挿入変異陽性肺がんに対する報告が過去にありました。

 


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