・第III相MALIPOSA-2試験・・・進行EGFR肺がん二次治療におけるamivantamab+lazertinib+化学療法

 

 

 

 

 MALIPOSA試験はEGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がんの一次治療をどうするか、という筋立てでした。

 今回のMALOPOSA-2試験は、EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんに対し、一次治療でオシメルチニブを使用して病勢進行に陥った後、二次治療をどうするか、という筋立てです。

 そのため、実臨床に即しているとはいえやや違和感を覚えるのは、二次治療であるにもかかわらず一次治療よりも毒性の強い治療(プラチナ併用化学療法にamivantamabやlazertinibを上乗せる)ことです。

 MALIPOSA試験において、一次治療でこそこうした強力な治療を試みるべきだったのではないか、というのが第一印象でした。

 統計学的な建付けは、標準治療であるカルボプラチン+ペメトレキセド併用療法に対し、amivantamab+カルボプラチン+ペメトレキセド併用療法、amivantamab+lazertinib+カルボプラチン+ペメトレキセド併用療法をそれぞれ二群間比較する、というものでしたので、後二者の直接比較はしていません。

 それでも、PFS曲線はあえて3群並列で描かれていましたので、本ブログでは起こられることを承知でOS曲線も3群並列で合成してみました。

 なぜかわかりませんが、MALIPOSA試験、MALIPOSA-2試験に共通して言えることは、lazeritnibを使うと治療初期6-12ヶ月のOSが他の治療群と比較してイマイチだ、ということです。

 MALIPOSA試験同様、lazeritnibの代わりにオシメルチニブを使ったらどうなのか、つまり一次治療でオシメルチニブを使用し、病勢進行に至った後にbeyond PDで使用継続しながらamivantamab、カルボプラチン、ペメトレキセドを上乗せしたらどうなのか、見てみたいところです。

 もっとも、そうするくらいなら一次治療から多剤併用療法を仕組んだ方が考え方としてシンプルなのかもしれません。

 

 

 

LBA15 - Amivantamab plus chemotherapy (with or without lazertinib) vs chemotherapy in EGFR-mutated advanced NSCLC after progression on osimertinib: MARIPOSA-2, a phase III, global, randomized, controlled trial

 

A. Passaro et al. ESMO Congress 2023 abst.#LBA15
Annals of Oncology (2023) 34 (suppl_2): S1254-S1335. 
10.1016/annonc/annonc1358

 

背景:

 免疫細胞誘導活性をもつ、EGFRとMETの二重特異性モノクローナル抗体であるamivantamab(ami)+カルボプラチン・ペメトレキセド併用化学療法(chemo)±中枢神経系移行性を示す第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬であるlazertinib(laz)は、第I相試験において抗腫瘍活性を示した。今回のMALIPOSA-2試験では、オシメルチニブ(osi)による一次治療後に病勢進行に至ったEGFR遺伝子変異(エクソン19欠失変異もしくはエクソン21L858R点突然変異)陽性進行非小細胞肺がん患者を対象に、これら併用療法について検証した。

 

方法:

 対象患者はami+laz+chemo群、chemo群、ami+chemo群へ2:2:1の割合で無作為に割り付けられた。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)とし、ami+chemo群 vs chemo群、ami+laz+chemo群 vs chemo群で2群間比較した。副次評価項目には奏効割合(ORR)、全生存期間(OS)、頭蓋内病変PFS(ic-PFS)、安全性を含めた。臨床試験進行中、ami+laz+chemo群における血液毒性が問題となり、「カルボプラチン投与完遂後にlaz投与を開始する」とのプロトコール改訂が必要だった。

 

結果:

 657人の患者が本試験に参加した(ami+chemo群131人、ami+laz+chemo群263人、chemo群263人)。背景因子は群間で均一であり、中枢神経転移の既往がある患者割合についても同様(44-46%)だった。追跡期間中央値8.7ヶ月時点で、chemo群と比較してami+chemo群(ハザード比0.48、95%信頼区間0.36-0.64、p<0.001)、ami+laz+chemo群(ハザード比0.44、95%信頼区間0.35-0.56、p<0.001)が有意にPFSを延長し、PFS中央値はami+chemo群6.3ヶ月、ami+laz+chemo群8.3ヶ月、chemo群4.2ヶ月だった。12ヶ月PFS割合はami+chemo群22%、ami+laz+chemo群37%、chemo群13%だった。ORRはami+chemo群で64%、ami+laz+chemo群で63%、chemo群で36%だった(p<0.001)。OSの中間解析結果はまだ未成熟で、ami+chemo群 vs chemo群のハザード比0.77(95%信頼区間0.49-1.21)、ami+laz+chemo群 vs chemo群のハザード比0.96(95%信頼区間0.67-1.35)だった。ic-PFS中央値はami+chemo群で12.5ヶ月、ami+laz+chemo群で12.8ヶ月、chemo群で8.3ヶ月であり、ami+chemo群 vs chemo群のハザード比0.55、p=0.001、ami+laz+chemo群 vs chemo群のハザード比0.58、p<0.001だった。amiを含む治療群では血液毒性やEGFR/MET関連の有害事象が優勢だった。ami+chemo群はami+laz+chemo群と比較して血液毒性の頻度が低かった。ami+laz+chemo群の治療におけるプロトコール改訂の結果、安全性や有効性にどのようなインパクトを与えたのか評価するにはまだ時間がかかる。

 

結論:

 osi投与後に病勢進行したEGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がんに対し、chemo単独と比較して、ami+chemo±laz併用療法は、PFS、ORR、ic-PFSを改善した。