本日、腫瘍性気道狭窄患者さんの気管支鏡検査を行いました。
腫瘤により気管および左右の主気管支が狭窄していて、ことに右の主気管支は近い将来閉塞してしまいそうなほど高度に狭窄していました。
残念ながら大分大学病院ではステント挿入などの適応はないとの結論でした。
化学療法の効果に期待する、でもいいのですが、効果が得られなかった場合にはその副作用が軽減するまで治療が出来ません。
また、化学療法中に右主気管支が閉塞してしまったら一気に呼吸不全が進行し、化学療法が継続できなくなってしまう可能性もあります。
そんなわけで、当院でも出来る治療として、腫瘤局所に100%エタノールを注入する治療を行うことにしました。
日本呼吸器内視鏡学会による標準教科書「気管支鏡-臨床医のためのテクニックと画像診断」にも記載されている治療です。
ですが、この手技をやったという話は大分県では聞いたことがなく、もしかしたら大分では初となる治療かも知れません。
<治療前の気管分岐部病変>
<治療直後の気管分岐部病変>
<治療前の右主気管支病変>
<治療直後の右主気管支病変>
治療がうまくいっていれば、数日後には病巣の一部が凝固壊死して、それを除去すると気道がより広くなるはずです。
病巣からもれるエタノールのために強い咳を誘発してしまうのが厄介ですが、効果が出ていれば、症状が改善するまで何度か繰り返してやってみます。