・悪性度の低い悪性腫瘍、悪性度の高い良性腫瘍

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 なんだかわけのわからないタイトルになってしまいました。

 最近身の回りで起こった出来事から。

 

1)悪性度の低い悪性腫瘍(腺様嚢胞がん)

 確定診断からゆうに5年以上経過する主気管支内悪性腫瘍の患者さんです。

 紹介元で手厚い治療を受け、病状が安定した段階で他県から大分に引っ越して来られました。

 縁あって私が外来経過観察することになったのですが、就寝中にせき込むことが多くなったとこの半年くらいで訴えられるようになりました。

 6-12ヶ月に1回撮影しているCTをつぶさに確認したところ、年間1mm前後ずつ、主気管支が狭窄してきています。

 気管支鏡で覗いたところ腫瘍性病変には見えなかったのですが、生検したところ悪性所見が検出されました。

 もともと悪性度の低い腫瘍で、年間1mmずつ大きくなる程度の進行度合いなのですが、場所が場所だけに放置するわけには行きません。

 20mmが19mmになっても大した違いはありませんが、7mmが6mmになると随分違います。

 呼吸器外科の先生にお願いして、いったんバルーンで拡張して、しばらく様子を見ることになりました。

 さあ内科医として何をするか、ということになるのですが、ドライバー遺伝子変異はすべて陰性、PD-L1も陰性、病巣は主気管支の一部のみで1mm/年程度の進行速度となると・・・。

 何をすべきか、途方に暮れてしまいます。

 

2)悪性度の高い良性腫瘍(髄膜腫)

 近所のクリニックの先生からのご依頼です。

 頭蓋内良性腫瘍のために認知機能低下、表出困難、経口摂取困難となり、終日臥床状態で胃瘻栄養で管理されていました。

 ところが、最近になって胃瘻栄養しても嘔吐するようになり、いよいよ水分・栄養管理ができなくなったとのこと。

 老衰、あるいは「良性腫瘍」終末期として看取りを考えるべき局面ですが、ご家族は高カロリー輸液による延命を希望されたそうです。

 そのため、末梢留置型中心静脈カテーテル留置のご依頼があり、昼過ぎに処置をさせて頂きました。

 拘縮が強くて腕が動かないし、本人の協力は得られないし、血管は細いし、曲がりくねっててガイドワイヤーが通らないしで、2時間くらい悪戦苦闘してようやく成功しました。

 やれやれということでCTの所見を確認したところ、頭蓋底から両側前頭葉へと広がる大きな腫瘍・・・。

 こりゃあ終日臥床にもなるわね、と納得してしまいました。

 いかに良性腫瘍とは言え、こうなってしまうと悪性度が高いと言わざるを得ません。

 

 こうして並べて書いてみると、「良性」と「悪性」の境界はかなりあいまいだと感じざるを得ません。

 

 

 

 

 関連記事です。

 

 台湾の低線量CTスクリーニングでたくさんの小型肺がん=悪性度の低い肺がんを見つけて手術しても死亡率は改善しなかった、という報告です。おそらく、我が国の実地臨床でも同じことが起こっています。

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 費用対効果を考えながら検診システムを構築しなければなりません。

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