昨夜、別府市内の鶴見病院の放射線部長とお話しする機会がありました。
私が大分に帰って来た頃からときどきお世話になっている先生で、初めてゆっくりお話が出来ました。
話題は初期の肺癌に対する定位照射についてでした。
大分県内には数ヶ所、定位照射ができる施設があります。
鶴見病院には、精度の高い照射設備があります。
肺や心臓は、絶えず動いているために、放射線照射中には「ブレ」が生じます。
この「ブレ」を見込んで、本来放射線を当てるべき範囲より少し広く照射野が設定されることが一般的です。
鶴見病院の設備は、患者さんの胸の動きに併せて、照射野を微妙にずらすシステムが組み込まれています。
こういったシステムを「動体追尾式照射」と言ったりします。
現時点では、鶴見病院のシステムが最も精度が高いと思っていたのですが、この部長によると、
「それでも、大分岡病院のサイバーナイフを有効に使ったら、それには及ばない」
ということでした。
私自身不勉強で、サイバーナイフと言えば脳腫瘍、脳転移の治療だと決めてかかっていました。
実際には、肺の定位照射にも対応しているそうです。
ただし、鶴見病院の設備が胸の動きを追尾するのに対し、サイバーナイフは違った方式をとっています。
まず、気管支鏡を用いて、金の粒を病変の周囲に3箇所留置します。
この金の粒を追尾の対象として、サイバーナイフが照射を行うそうです。
胸の動きよりもより限定された部分を対象とするために、照射の精度が高くなるそうです。
ただ、残念ながら大分岡病院には、金の粒を留置できる常勤の呼吸器内科医がいません。
鶴見病院の部長を介して大分岡病院の先生と連絡をとって、需要があればお手伝いしに行ってみようと思っています。