気管支鏡診断の戦略

 最近、身内に不幸があって、更新が滞ってしまいました。

 昨日、2週間ぶりに大分大学病院へ行って気管支鏡の指導をしてきました。

 肺癌の気管支鏡診断には、一度の検査で最大限の情報を得るために戦略が必要で、気管支鏡をする前から勝負が始まっているのですが、まだまだそこが不十分なようです。

 例えば、肺の末梢に結節影があって、超音波気管支鏡で穿刺可能なリンパ節が腫れていたとします。

 この場合、肺の末梢とリンパ節、どちらを優先して検査するべきか。

 私なら迷わず超音波気管支鏡でリンパ節穿刺を優先します。

 診断率、得られる情報、病期診断上の意義、いずれをとってもリンパ節生検の方が有利です。

 これまで大分大学病院では、超音波気管支鏡下縦隔リンパ節生検で目立った合併症を起こしていませんし、本検査法の診断率は90%を超えます。

 末梢の肺生検ではしばしば出血、気胸の合併症が問題になりますし、診断率はよくて70%程度です。

 また、縦隔リンパ節穿刺で診断がつけばIIIA期以上の肺癌であることは確定で、治療方針を早く決めることが出来ます。

 

 最小の侵襲で最大の効果を得る、これは治療面だけではなく、診断面でも重要な考え方です。

 教科書には載っていない内容ですが、こういったことを若い先生方に伝えようと思っています。