・オシメルチニブ使用後、C797S変異が見つかった人の特徴は?

 

 C797S耐性変異は、第3世代のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬が開発された早々からよく取り上げられてきた変異です。

 本変異をターゲットにした治療開発もずっと進められているはずですが、なかなか実用化されません。

 今回の報告は、C797S耐性変異陽性患者は、

・C797S陰性患者よりもオシメルチニブでの治療が長く続けられている

・新規病巣の出現を伴わず、1-数個の既存病変の悪化により病勢進行に至ることが多い

という特徴があると言及しています。

 C797S耐性変異に対する有効な治療がない以上、beyond PDでオシメルチニブを使い続けながら、増大傾向にあるオリゴ病巣を局所治療で制御する、という考え方は理に叶っているように思います。

 

 

 

Impact of Clinical Outcomes of Osimertinib on the C797S Mutation Status after Osimertinib Failure

 

JSMO 2024 annual meeting Abst.#MO11-4

 

背景:

 オシメルチニブはEGFR遺伝子変異/T790M耐性変異陽性未治療非小細胞肺がん患者に対する標準治療として確立した。C797S変異やEGFRエクソン20変異は、オシメルチニブによる一次治療、二次以降の治療いずれにおいても主要な耐性機序である。オシメルチニブによる治療が無効となったあと、C797S変異が確認された患者の臨床的特徴に関するデータは限られている。

 

方法:

 2016年12月から2023年07月にかけて、国立がん研究センター中央病院において、オシメルチニブ使用後に病勢進行に至り、再生検を行って次世代シーケンサーでC797S変異について調べた患者を後方視的に解析した。

 

結果:

 EGFR遺伝子変異陽性患者32人が調査対象として挙がった。そのうち7人でC797S変異を確認した。うち5人は、T790M変異が確認されたのち、次治療としてオシメルチニブを使用した患者だった。年齢、性別、喫煙歴などの背景因子は、C797S陽性群と陰性郡で差異がなかった。一方、オシメルチニブの奏効持続期間は、C797S陰性群と比較してC797S陽性群の方が長かった(中央値は14.3ヶ月 vs 8.8ヶ月)。病勢進行の形式は、新規病巣の出現を伴わない単病巣の悪化を示す頻度が、C797S変異陽性群の方が陰性群と比較して高かった(57.1% vs 12%、p=0.0258)。

 

結論:

 C797C変異はオシメルチニブ使用中の臨床経過や病勢進行様式において特徴づけられる可能性がある。