・FLAURA2の日本人サブグループ解析、2回目中間解析

 

 EGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がんに対するオシメルチニブ+ペメトレキセド+プラチナ製剤併用療法の意義を検証した第III相FLAURA2試験。

 主要評価項目の無増悪生存期間は既に目標を達成しており、以下のごとく報告されています。

oitahaiganpractice.hatenablog.com

 

 ここ半年で、サブグループ解析結果やら副次評価項目解析結果が続いています。

 おしなべて併用療法の有効性をなぞる結果です。

 全ての患者さんに適用すべきとまではいいませんが、元気な患者さんに対しては適用を検討すべきだと思います。

 

 

 

〇 FLAURA2試験の日本人サブグループ解析

 2023年 日本肺癌学会総会

 

オシメルチニブ+化学療法併用群(併用群):全体557人、日本人94人

オシメルチニブ単剤群(単剤群):全体278人、日本人47人

主要評価項目(担当医評価による無増悪生存期間(PFS)):

 全体の中央値は併用群25.5ヶ月 vs 単剤群16.7ヶ月

  ハザード比0.62(95%信頼区間0.49-0.79)

 日本人の中央値は併用群24.8ヵ月 vs 単剤群16.4ヵ月

  ハザード比0.49(95%信頼区間0.28-0.86)

副次評価項目:

 全生存期間(OS)はイベント発生割合29%でデータ不足だが、解析時点での中央値は併用群31.9ヶ月 vs 単剤群未到達、ハザード比0.70(95%信頼区間0.32-1.54)

 奏効割合(ORR)は併用群87% vs 単剤群72%

 奏効期間中央値(DoR)は併用群23.3ヶ月 vs 単剤群13.8ヶ月

 


〇 FLAURA2試験全体集団の第2回OS中間解析結果

 2024年 ELCC

 

 全生存期間(OS)はイベント発生割合41%でデータ不足だが、解析時点での中央値は併用群未到達 vs 単剤群36.7ヶ月、ハザード比0.70(95%信頼区間0.57-0.97)

 1年OS割合は併用群89% vs 単剤群92%

 2年OS割合は併用群80% vs 単剤群72%

 3年OS割合は併用群64% vs 単剤群50%

 

 

4O - First-line (1L) osimertinib (osi) ± platinum-pemetrexed in EGFR-mutated (EGFRm) advanced NSCLC: FLAURA2 post-progression outcomes

 

Natalia Isabel Valdiviezo Lama et al.
European Lung Cancer Congress 2024, Abst.#4O

 

背景:

 オシメルチニブ(Osi)は、中枢神経病変にも治療活性を持つ第3世代のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)で、EGFR感受性変異に加えてT790M耐性変異も強力かつ選択的に阻害する。第III相FLAURA2試験では、EGFR遺伝子変異陽性進行非総細胞肺がんに対し、Osi+プラチナ製剤+ペメトレキセド併用療法(OsiPP)がOsi単剤療法(Osi)と比較して有意に無増悪生存期間(PFS)を改善した(ハザード比0.62、95%信頼区間0.49-0.79、p<0.001)。今回は病勢進行後の経過について、全生存期間(OS)の最新データを含めて報告する。

 

方法:

 未治療のEGFR遺伝子変異(エクソン19欠失変異 / エクソン21L858R点突然変異)陽性進行非小細胞肺がんに罹患し、WHO-PS 0/1の患者を対象に、OsiPP群とOsi群に割り付けた。OsiPP群では導入療法としてOsi 80mgを1日1回内服、並行してプラチナ併用化学療法(ペメトレキセド+シスプラチンもしくはカルボプラチンを3週間ごとに4コース)を行い、維持療法としてOsi 80mgを1日1回内服+ペメトレキセド単剤療法3週間ごと点滴を継続した。Osi群ではOsi 80mg1日1回内服のみを継続した。両群ともに、病勢進行に至るか、治療中止基準を満たすまでプロトコール治療を継続した。プロトコール治療後の後治療の内容は担当医に一任された。副次評価項目にはランダム割り付け日から最初の後治療開始までの経過日数(TFST)、ランダム割り付け日から後治療後に病勢進行に至るまでの期間(PFS2)、ランダム割り付けから後治療2レジメン目を開始するまでの期間(TSST)、OSが含まれていた。OSを除く評価項目は2023/04/03の1回目のデータカットオフ時点(DCO)での結果について、OSについては2024/01/08の2回目のDCOでの結果を報告する。

 

結果:

 1回目のDCOでは、OsiPP群279人中123人(44%) vs Osi群278人中151人(54%)がプロトコール治療を終えていた。この患者集団のうち、OsiPP群123人中57人(46%)とOsi群151人中91人(60%)は最初の後治療(FST)を開始していた。化学療法を行った患者が最も多く、OsiPP群57人中37人(65%)、Osi群91人中75人(82%)を占めていた。両群間のハザード比(95%信頼区間)はそれぞれ、TFST 0.73(0.56-0.94)、PFS2 0.70(0.52-0.93)、TSST 0.69(0.51-0.93)だった。OSに関するデータは、2回目のDCO時点でもまだ不十分(達成率41%)で統計学的有意差は検出できなかったが、OsiPP群で優れる様子が見て取れた。OS中央値はOsiPP群で未到達(95%信頼区間38.0ヶ月-未到達)、Osi群で36.7ヶ月(95%信頼区間33.2-未到達)、ハザード比0.75(95%信頼区間0.57-0.97)だった。一連のサブグループ解析において、OsiPP群が有望な傾向にあった。

 

結論:

 FLAURA2の病勢進行後解析の結果、OsiPP群が初回病勢進行後の経過においても臨床的有意性を示しており、OSの追跡調査結果も有望だった。