・第III相CheckMate 77T試験・・・切除可能非小細胞肺がんに対するニボルマブ併用周術期補助療法

 

 

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 KEYNOTE-671試験は、II-IIIB期の切除可能非小細胞肺がんにおける周術期ペンブロリズマブ+プラチナ併用化学療法の意義を検証する試験でした。

 今回のCheckMate 77T試験は、IB-IIIB期の切除可能非小細胞肺がんにおける周術期ニボルマブ+プラチナ併用化学療法の意義を検証する試験です。

 IB期を含むか含まないかの違いはありますが、今回報告されたCheckMate 77T試験の中間解析結果は、II-IIIB期の患者集団を対象にしたものであり、KEYNOTE-671試験と比較するにあたって都合がよいです。

 データとしては示されていませんが、カプランマイヤー曲線から類推する限り、2年時点での無イベント生存割合は同等と見てよさそうです。

 

 

 

CheckMate 77T: Phase III study comparing neoadjuvant nivolumab (NIVO) plus chemotherapy (chemo) vs neoadjuvant placebo plus chemo followed by surgery and adjuvant NIVO or placebo for previously untreated, resectable stage II–IIIb NSCLC

 

T. Cascone et al.
ESMO Congress 2023 abst.#LBA1
Annals of Oncology (2023) 34 (suppl_2): S1254-S1335. 10.1016/annonc/annonc1358

 

背景:

 完全切除可能非小細胞肺がんに対するニボルマブ併用化学療法による術前補助療法は、ニボルマブを併用しない術前化学療法と比べて有効である。しかし、周術期(術前+術後)のニボルマブ併用化学療法の有効性は第III相臨床試験としてはこれまで評価されていない。今回はIB-IIIB期の切除可能非小細胞肺がん患者を対象に、ニボルマブ併用化学療法による術前・術後治療と、ニボルマブを併用しない化学療法による術前・術後治療を比較するランダム化二重盲検第III相臨床試験であるCheckMate 77T試験の中間解析結果を報告する。

 

方法:

 未治療の完全切除可能IIA期(原発巣最大径40mm超)-IIIB期(N2期)の非小細胞肺がん(AJCC第8版準拠)で、EGFRやALKは野生型、ECOG-PS 0-1の患者を対象に、組織型

、PD-L1発現状態、病期を割り付け調整因子としてニボルマブ併用群(Nivo群)とニボルマブ非併用群(非Nivo群)に1:1の割合で無作為割り付けした。Nivo群はニボルマブ360mgを3週間ごとに、プラチナ併用化学療法を4コースそれぞれ投与し、その後定型的手術を行い、術後にニボルマブ480mgを4週間ごとに1年継続した。非Nivo群はプラセボを3週間ごとに、プラチナ併用化学療法を4コースそれぞれ投与し、その後に定型的手術を行い、術後にプラセボを4週間ごとに最長1年継続した。主要評価項目はRECIST ver.1.1準拠での無イベント生存期間(EFS)とし、副次評価項目は病理学的完全奏効(pCR)割合、MPR、全生存期間、安全性とした。

 

結果:

 背景因子のバランスはとれていた。Nivo群229人、非Nivo群232人と割り付けられた

。追跡期間最短値は15.7ヶ月で、Nivo群は有意にEFSを延長した((EFS中央値:Nivo群 未到達(95%信頼区間28.9-未到達) vs 非Nivo群18.4ヶ月(95%信頼区間13.6-28.1)、 ハザード比0.58(97.36%信頼区間0.42-0.81)、p=0.00025)。Nivo群はpCR割合(Nivo群25.3% vs 非Nivo群4.7%、オッズ比6.64(95%信頼区間3.40-12.97))、MPR割合(Nivo群35.4% vs 非Nivo群12.1%、オッズ比4.01(95%信頼区間2.48-6.49))のいずれも非Nivo群より有意に優れていた。定型的切除割合はNivo群78% vs 非Nivo群77%で、R0切除割合はNivo群89% vs 非Nivo群90%だった。Grade 3-4の治療関連有害事象はNivo群32% vs 非Nivo群25%で、手術関連有害事象はNivo群12% vs 非Nivo群12%だった。

 

結論:

 CheckMate 77T試験は主要評価項目を達成し、周術期ニボルマブ併用化学療法及び外科切除療法は、切除可能非小細胞肺がん患者に対して統計学的有意に、かつ臨床的意義のあるEFS改善効果を示した。想定外の有害事象は認めなかった。