Pembrolizumab二次治療後の5年生存割合は25%以上?!

 3年未満しか追跡調査できていない臨床試験の結果から、5年生存割合を類推する、というのは、やや眉唾にも思える。

 しかし、免疫チェックポイント阻害薬で治療した患者の生存曲線を見ると、初期には曲線が急速に低下し、その後にX軸とほぼ平行に走るプラトーに達する傾向がある。

 

 今回は、こうした特性からPembrolizumabによる二次治療施行後の患者の5年生存割合を見積もった、という報告のようだ。

 統計学的解析の詳細は不明で、勉強する気もないが、これが真実だとすると進行期非小細胞肺がん患者の4人に1人は5年生存することになる。

 ちょっと信じがたいことだが、Pembrolizumabが実地臨床で本格的に使われるのはまさにこれからなわけで、5−10年後にならないと真実は明らかにならないだろう。

 薬価は高く、医療費の高騰を招くのは火を見るより明らかだが、こうあっては臨床医としては使わざるを得ない薬だ。

Long-Term Survival With Pembrolizumab May Be Possible in Up to One-Quarter of Patients With Previously Treated, Advanced NSCLC

ASCO-SITC Clinical Immuno-Oncology Symposium

February 23, 2017

Abst.#77

 メモリアル・スローンケタリングがんセンターのMatthew D.Hellmannらは、プラチナ併用化学療法後に病勢進行に至り、Pembrolizumabによる二次治療を受けたPD-L1高発現の非小細胞肺がん患者の長期生存(ここでは5年間以上の生存と定義)がどの程度期待できるのかを統計学的に見積もった。

 KEYNOTE-001試験の生存データは3年未満のものしかないのだが、この試験に参加した306人のデータを用いて長期生存割合を予測した。その後、KEYNOTE-010試験に参加した690人の患者でも同様の評価を行った。

 今回の検討から得られたデータは信頼に足るものだった。KEYNOTE-001試験からは、Pembrolizumab二次治療を受けた患者の長期生存割合は25.4%(95%信頼区間は14.8-33.6%)と見積もられた。同様に、KEYNOTE-010試験からは、25.3%(95%信頼区間は9.0-36.6%)と見積もられた。さらに、KEYNOTE-010試験では6ヶ月間の追跡期間延長後のデータを用いて再評価すると、21.5%(95%信頼区間は9.2-30.5%)と見積もられた。

 結局のところ、Pembrolizumabによる二次治療の結果、21-25%の患者は長期生存が見込めることになり、その一方でドセタキセルでは3-4%しか見込めなかった。プラチナ併用化学療法後に病勢進行に至った患者に対する免疫チェックポイント阻害薬の効果は、(既にドセタキセルよりも優れているとの評価は定まっているわけだが、durative responseにより25%もの患者が長期生存できる可能性があることを踏まえると)現時点では過小評価されているのかもしれない。