・受診先が消えるということ

 

 新型コロナウイルス感染症流行の影響か、はたまた全く別の要因か、近隣医療機関の体制が目まぐるしく変わっています。

 

 新型コロナウイルス感染症流行が始まったその年、近隣の緩和ケア病棟が閉鎖されたとき、記事を書きました。

oitahaiganpractice.hatenablog.com

 このことをきっかけにして地域の在宅緩和ケアが少し活性化されたのではないかと感じる一方で、どうしても入院対応が必要な患者さんに関する終末期ケアの依頼を、私自身も引き受けることが多くなりました。

 今現在も、非代償性肝硬変合併肝細胞がんの患者さん、巨大髄膜腫の患者さんの終末期ケアを行っており、遠方からお越しになるご家族との面会を実現させるために苦心しています。

 

 上記で取り上げた同じ病院で、今度は整形外科の診療が大きく制限され、入院対応ができなくなりました。

 ここの整形外科の先生はとてもきめ細かく診療してくださる先生で尊敬していたので、とても残念です。

 

 最近になって、別の医療機関でも気になる変化があります。

 手術適応の肺がん患者さんを発見したら真っ先に相談していた呼吸器外科の先生が、昨年部下の先生とともに異動されました。

 後に配属された先生は一人だけで、お一人ではしばらく業務が軌道に乗るまではあまり患者さんを紹介しない方がいいかなあと様子を見ていました。

 すると、近日中に診療科自体が閉鎖されるというではありませんか。

 医師の異動ならまだしも、診療科自体がなくなるというのは由々しき事態です。

 こちらの医療機関には、同じ修行先で肺がん診療の勉強をした先輩がいらっしゃるのですが、もともと放射線治療設備がないために制約があるうえ、手術までできなくなってしまうと、随分と業務がしにくくなってしまいそうです。

 加えて、脳神経外科も近々閉鎖される予定とのこと。

 私の亡父もかつて脳神経外科で随分お世話になりましたので、忸怩たる思いです。

 

 緩和ケア科、整形外科、呼吸器外科、脳神経外科

 いずれも地域医療を支える大切な診療科です。

 地域医療の質の低下につながらないことを願うばかりです。