BRAF変異を有する非小細胞肺癌とdabrafenib

 原発性肺がんにおいて、ALK遺伝子再構成、ROS1遺伝子再構成、RET遺伝子再構成など、希少な遺伝子異常がさまざま報告されています。

 BRAF V600E変異もそういった希少な遺伝子異常のひとつです。

 今回は、このBRAF変異に対するdabrafenibの報告です。

 EGFR遺伝子変異を含め、上記の各遺伝子異常に対する治療の中では、ちょっと物足らない結果のような気がします。

 また、治療を受けた患者において、実に17%が皮膚がんを発症したというのは、本当ならちょっと受け入れがたい話です。

 これまた、ちょっと前のASCO evening postから。

 Planchardらは、BRAF変異陽性の進行非小細胞肺癌患者に対し、BRAFキナーゼ阻害薬であるdabrafenibの有効性を検証する第II相試験を行い、Lancet Oncology誌に発表した。BRAF V600E変異は肺腺癌の1-2%に認められるとされる。

 治療歴のない6人を含む、84人の患者が本試験に参加し、1回150mg、1日2回のdabrafenibを服用した。患者の平均年齢は66歳、50%が女性で、76%が白人、22%がアジア人、37%が非喫煙者だった。化学療法歴は、1レジメンが51%、2レジメンが18%、3レジメンが31%だった。

 78人の既治療患者において、奏効割合は33%(26人)、病勢コントロール割合は24%(19人)だった。未治療の6人では、奏効割合は67%(4人)だった。既治療患者での奏効持続期間中央値は9.6ヶ月で、未治療患者の奏効持続期間は3.2-12.5ヶ月の範囲だった。既治療患者の無増悪生存期間中央値は5.5ヶ月で、未治療患者の無増悪生存期間は4.0-16.6ヶ月の範囲だった。

 

 Grade 3以上の有害事象は、皮膚扁平上皮癌発症が12%、無力症が5%、基底細胞癌発症が5%だった。深刻な有害事象は42%に認められた。dabrafenibに関連すると思われる頭蓋内出血により1人が死亡した。