新聞記事から

 土日祝日と学会出張中は、暇を見て日本経済新聞を読むことにしています。

 昨日、今日の記事には、医薬品関係の記事が多かったのでちょっと扱っておきます。

・薬価、割高なら下げ(2016年4月7日朝刊)

 厚生労働省は2018年度から、高額な薬について価格の算定方法を見直す。

 同じような効果を持つ薬を比べて、割高な方の価格を適切な水準まで下げる。

 また、これから承認される新薬を保険の対象にするかどうかについても、「費用対効果」のものさしで決めることを検討する。

 製薬メーカーの希望価格に対して、効果が薄いと判断すれば公的保険が適用されなくなるため、ほぼ日本の市場から締め出されることになる。

 薬価は病院や薬局が薬剤費として受け取る薬の公定価格だが、病院などの医療機関は医薬品卸業者と交渉し、医薬品を薬価よりも安い値段で仕入れているケースが多い。実際の仕入れ値と薬価の差額が医療機関の儲けになる。そこで2年に1度の診療報酬改定の前年に実勢価格を調査し、それに基づいて薬価の水準を見直している。かつては薬価と実勢価格の差が20%を超え、医療機関の大きな収入になったが、近年は8%程度に収まっている。

 ・・・そもそも薬価と実勢価格が8-20%も乖離しているのがおかしいですよね。

 ・・・もしかしたら、gefitinib, erlotinibは同じくらいの価格になるかもしれません。

 ・・・全生存期間に関するハザード比が0.8を下回らないような薬は、公的保険が適用されなくなるかもしれません。

・米国医薬品大手ファイザーが、アイルランドの医薬品大手アラガンの買収を断念(2016年4月7日朝刊)

 ファイザーとアラガンは2015年11月に合併で合意していたが、米財務省が節税目的の合併・買収に歯止めをかける新たな規制を発表し、節税効果が見込めなくなったことから、合意の撤回に至った。ファイザーは、法人実効税率が40%と高い米国から、他の税率が低い国へと本社機能を移して税負担を軽減する検討を以前から進めていた。2014年には英国のアストラゼネカ社に買収を提案したが、アストラゼネカ社に拒否されて破談に終わっていた。今回はまとまるかに思われたが、米国に残る子会社の税控除を制限する規制の導入により節税効果が見込めなくなった。

・・・パナマの法律事務所から流出した大量のタックスヘイブン関連文書が各国有力政治家の大きなスキャンダルになっていますが、巨大企業の節税策は縮小傾向のようです。グーグルやフェイスブック法人税納付で当局ともめていましたが、両者とも追加納税する方針に切り替えたようです。

・韓国のバイオシミラー製薬会社、セルトリオン、米国食品医薬品局からインフリキシマブのバイオシミラー「レムシマ」の販売許可を取得

(2016年4月7日朝刊)

 レムシマは既に日本、欧州では販売中。インフリキシマブのほか、リツキシマブやトラスツズマブも販売許可申請中とのこと。

 ・・・国内医薬品大手もバイオシミラー販売に着手しないと、乗り遅れそうです。

 ・・・ベバシツマブもバイオシミラーが出てくるかも

 ・・・免疫チェックポイント阻害薬で大腸炎が起こったら、レムシマを使うかも

・化血検のワクチン事業、アステラスへ譲渡交渉(2016年4月8日朝刊)

 化血検はワクチンや血液製剤を国の承認所と異なる方法で製造していたとして、史上最長の110日間の業務停止処分を受けている。国内2位のワクチン事業を、アステラス製薬に譲渡する方向で交渉入りし、まとまればワクチン供給の正常化に一定の目処がつく。

・・・「血清療法研究所」が「血清療法」事業を他社に譲渡するのは、自業自得とはいえ、断腸の思いでしょうね。