<OncoPrimeから見た肺癌診療におけるClinical Sequence>
2016年4月8日、日本呼吸器学会総会、京都大学 武藤学先生
・日常臨床としてのクリニカル・シーケンスの対象
原発不明癌
希少癌
標準治療不応の進行・再発癌
・OncoPrimeのイメージ
http://www.mki.co.jp/service_news/service_news_2015/0309_01.html
・OncoPrime ポータルサイト
http://oncoprime.cancer.kuhp.kyoto-u.ac.jp/
・OncoPrime提出は完全自費診療
米国へ外注し、結果は1ヶ月程度で返ってくる
結果はA4用紙20-60枚分にも及ぶ
結果はOncoPrimeカンファレンスで解読する
どんな遺伝子変異があって、どんな治療薬があるのか、判明する
治療もほとんどの場合は治験もしくは自費診療になる
・OncoPrime sequenceは検査成功率が高い
・適応外使用に対していかに対応するか
自由診療に対応できるように、生命保険会社に相談、対応可能な商品開発をしてもらう
・2015年4月から2016年2月までに計72人の患者さんをスクリーニング
actionable mutationを89%で見出した。
国内で承認された薬の治療対象となる人が58%
FDAで承認された薬の治療対象となる人が37%
・68人を調べた段階でのうちわけ
クリニカル・シーケンス成功:64人、失敗:4人
actionable mutation陽性:57人、陰性:7人
57人のうち3割程度は結果に基づいた治療につなげることができた
・実例
原発不明癌、実地臨床でのEGFR遺伝子変異検査では(-), OncoPrimeでEGFR遺伝子変異が判明、Erlotinibが奏効
非小細胞肺癌、実地臨床でのEGFR遺伝子変異検査では(-), OncoPrimeで希少なEGFR遺伝子変異が判明、Erlotinib+BVが奏効
膵がん、OncoPrimeでBRCA1(+)が判明、BRCA1変異には白金製剤が有効なため、SOX療法を行い奏効
→一般に、膵がんに対するSOX療法は有効性が否定されていて、実地臨床で行われることはない
→標準治療がカバーできない患者群をOncoPrimeでsalvageできる可能性の好例
・HER2 mutationのうち、S310F, G660Dに対しては、afatinibが有効
・京都大学病院内の電子カルテシステムをOncoPrimeに適合するように再構築し、OncoPrimeから得られた遺伝情報と各種の臨床情報をリンクさせ、将来ビッグデータとして活用できるように整備
・同じシステムを他の施設で共用できるように、クリニカル・バイオバンク研究会を発足
スティーブ・ジョブズも病を得たとき、クリニカル・シーケンスを使用して、治療薬を探していたようですね。
伝記に記されているので、興味がある方は一読してみてください。