2023-01-01から1年間の記事一覧

・第II相 I-SABR試験・・・手術不能早期非小細胞肺癌に対する定位放射線照射+ニボルマブ併用療法

免疫チェックポイント阻害薬の活躍の場は、着実に広がってきました。 ・進行非小細胞肺がんの単剤二次治療として ・進行非小細胞肺がんの単剤一次治療として ・進行非小細胞肺がんのプラチナ併用化学療法との併用一次治療として ・進行非小細胞肺がんのプラ…

・AZD3759(zorifertinib)・・・今後果たして出番はあるのか?

AZD3759(zorifertinib)は、7年以上前に記事にして取り上げたことがあります。 大分での肺がん診療:髄液移行性の良いEGFRチロシンキナーゼ阻害薬 (junglekouen.com) 髄液移行性に優れるEGFRチロシンキナーゼ阻害薬として開発されたようですが、その後の進捗…

・第III相LASER301試験・・・Lazertinib

lazertinibという薬は、CHRYSALIS-2試験のときにも登場した、第3世代のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬です。 oitahaiganpractice.hatenablog.com この記事の中で紹介した、オシメルチニブ耐性化後のlazertinib+amivantamab+カルボプラチン+ペメトレキセド併…

・第III相LUNAR試験・・・腫瘍治療電場・・・?

腫瘍細胞の有糸分裂過程を阻害する電場を用いた治療・・・。 摩訶不思議な響きを持つ謳い文句で、私が不意に思い浮かべたのは叔母が好んで通い続けていた、「ヘルストロン」のサロンでした。 ヘルストロンとは | 株式会社 白寿生科学研究所 ハクジュプラザ…

・ADAURA試験・・・全生存期間解析結果

2023年の米国臨床腫瘍学会で、完全切除後のEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんに対する術後補助療法としてのオシメルチニブの有効性を検証した第III相ADAURA試験について、5年間追跡調査後の生存期間解析に関する報告がありました。 要は、術後オシメルチニブ…

・「コロナ患者の呼吸器を2分間停止・・・」の記事、問題点は?

ウェブサイト上に以下のような記事があり、いろいろと考えさせられてしまいました。 進行肺がんの診療ばかりしていると人工呼吸管理に携わること、意識することは少ないのですが、一般診療を行う呼吸器内科医としては他人ごとではありません。 医師と患者の…

・TASUKI-52試験・・・カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ+ニボルマブ併用療法

進行非扁平上皮非小細胞肺がんに対するカルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ+ニボルマブ併用療法の有効性を検証したONO-4538-52/TASUKI-52試験。 プラチナ併用化学療法+血管増殖因子阻害薬+免疫チェックポイント阻害薬という同様のコンセプトを…

・KISEKI trial、論文化

第1世代ないし第2世代のEGFR-TKIとプラチナ併用化学療法施行後に病勢進行に至った、T790M耐性変異陰性、EGFR遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がん患者を対象に、オシメルチニブの有効性を検証した第II相KISEKI trialが論文化されていました。 企画段階からの…

・髄膜癌腫症で病勢進行した日本人EGFR遺伝子変異陽性肺がんに、オシメルチニブはどの程度効くのか

EGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がんに対し、オシメルチニブが初回治療で用いられるようになってからというもの、T790M耐性変異の有無を調べる、という機会が失われているように感じます。 髄膜癌腫症に対するオシメルチニブの有効性を研究について調べて…

・第III相KEYNOTE-789試験・・・EGFR-TKI耐性化後のKEYNOTE-189レジメンの使い方は?

先だって開催された米国臨床腫瘍学会年次総会から。 EGFR-TKI耐性化後の治療として、プラチナ製剤+ペメトレキセド併用療法にペンブロリズマブを上乗せすることの意義を検証したKEYNOTE-789試験の結果です。 早い話が、EGFR-TKI耐性化後にKEYNOTE-189レジメ…

・新しい吐き気止め、ホスネツピタント(アロカリス)

今も昔も、プラチナ併用化学療法を行う際の吐き気、食欲不振対策は大切です。 私が社会人になったころは、メトクロプラミド入りの大量の点滴とグラニセトロンで治療していましたが、それでもみなさんげっそりしていました。 右も左も分からないままに、指導…

・パクリタキセルによる末梢神経障害と冷たい手袋・靴下(フローズン・グローブ)

EGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がんの患者さんで、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬が効かなくなった後の治療はいくつか選択肢がありますが、IMpower150試験のサブグループ解析の結果からカルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ+アテゾリズマブ併用療…

・B型肝炎ウイルス感染者と免疫チェックポイント阻害薬

HBV感染既往のある患者さん、HBVキャリアの患者さんから、がん薬物療法への影響について質問がありました。 過去に記事として扱ったことがあります。 oitahaiganpractice.hatenablog.com 要は定期的にモニタリングしながら、核酸アナログ(エンテカビル)を…

・JCOG2007・・・NIPPON studyの憂鬱 日本人にニボルマブ+イピリムマブ+プラチナ併用化学療法はキツいのか

令和5年4月30日 日本経済新聞より抜粋 JCOG2007(NIPPON試験)概要 JCOGホームページより抜粋 2007.pdf (jcog.jp) JCOG2007(NIPPON試験) ニボルマブ+イピリムマブ+プラチナ併用化学療法群の治療関連死一覧国立がん研究センターのプレスリリースより…

・EGFR遺伝子変異陽性肺がん、耐性化後の個別相談事例から

肺がん患者さんの個別相談において、圧倒的多数を占めるのがEGFR遺伝子変異陽性の進行・再発非小細胞肺がんです。 正直なところ、ここまで相談が偏るとは思っていませんでした。 EGFR遺伝子変異をはじめとするドライバー遺伝子変異陽性肺がんでは、分子標的…

・50%糖液を用いた難治性気胸に対する胸膜癒着術・・・一筋縄ではいきません

「社会にも研究にも、いわゆる「流れ」というものがあって、その流れにはいつも目を配っておかないといけないよ」 とは、私に肺がんの病理学を手ほどきしてくださった恩師が、私にたくさん授けてくださった至言のひとつです。 その当時、術後補助療法の有効…

・NEOSTAR試験 第2章・・・術前イピリムマブ+ニボルマブ+プラチナ併用化学療法

筍が旬を迎えていますね。 私はいつも頂いてばかりなのですが、竹林へ筍狩りに行かれる方のお話を伺うと、毎年毎年イノシシやモグラとの争奪戦なのだとか。 以前、切除可能非小細胞肺がんに対する術前ニボルマブ+イピリムマブ併用療法の有効性を検証したNEO…

・子宮内膜がん(子宮体がん)がん薬物療法の進歩

現在、子宮内膜がん(子宮体がん)終末期の入院患者さんを担当しています。 子宮・膀胱・直腸が互いに交通(穿通)してしまい、感染によるものかがんの浸潤によるものか判然としない痛みにさいなまれていらっしゃいます。 かかりつけの産婦人科の先生への定…

・デュルバルマブ+トレメリムマブ+プラチナ併用化学療法はどんな患者に使うべきか

2022年12月28日付で、進行・再発非小細胞肺がんに対する治療として厚生労働省の適応承認を受けたデュルバルマブ+トレメリムマブ+プラチナ併用化学療法。 プラチナ併用化学療法は二剤併用なので、とどのつまり四剤併用のがん薬物療法です。 本治療の有効性…

・アテゾリズマブ併用化学療法の有効性と免疫関連有害事象の関係

進行非小細胞肺がんに対するプラチナ併用化学療法+アテゾリズマブを含む併用療法の有効性を検証した3つの臨床試験・・・IMpower130試験、IMpower132試験、IMpower150試験を統合解析し、有効性とirAEの関係を探った研究です。 そこそこのirAEに見舞われた方…

・AI・・・Autopsy Imaging, 死亡時画像診断

AIといわれて誰もが思い浮かべるのは、Artificial Intelligence、いわゆる「人工知能」ですよね。 日常会話の中で、新聞報道で、ニュースで、ソーシャルメディア上で、AIという言葉を耳にしない日はありません。 しかし、今日の話題は「人工知能」ではなく「…

・まさかのウロキナーゼ入手困難・・・その理由は・・・!?

20220722_mochida.pdf (jrs.or.jp) 悪性胸水のコントロールに苦戦しています。 EGFRエクソン19欠失変異陽性の患者さんだったので、オシメルチニブがよく効くだろうと高をくくっていたのですが、そうは問屋が卸しませんでした。 軽い皮膚障害以外に目立った副…

・気管支カメラが先か、胃カメラが先か

気管支カメラと胃カメラの両方を試みなければならないことがときにあります。 患者さんが口から血をはきだしているとき、それがどこから来ているのか知りたいときです。 口の中か。 鼻からか。 喉からか。 気管・気管支からか。 あるいは食道や胃、十二指腸…

・ADAURA試験のほぼ4年追跡調査から

EGFR遺伝子変異陽性完全切除後非小細胞肺がんに対する、オシメルチニブ術後補助療法の有効性を検証した第III相ADAURA試験。 約4年追跡調査後のデータが論文として公表されています。 圧倒的なオシメルチニブ優位のデータは、4年追跡調査後も不動のようです。…

・CodeBreaK200試験・・・KRASG12C変異肺がんの標準二次治療はソトラシブへ

KRAS G12C変異陽性の既治療進行非小細胞肺がんに対するソトラシブ内服療法。 CodeBreaK 200試験において、ドセタキセルとの大規模比較試験で有意に無増悪生存期間を延長したとのことです。 加えて、副作用もドセタキセルより軽微だった模様です。 腫瘍縮小効…

・シングルプレックス(単項目)遺伝子変異検査のおわりのはじまり・・・?

(出典:Invitae Japan株式会社 2023年02月28日付通知より) 原発性肺腺がんの4%、原発性肺扁平上皮がんの1%程度に見つかるとされるMETエクソン14スキップ変異。 2023/03/01現在、METエクソン14スキップ変異に対する分子標的薬として、本邦ではテポチニブと…

・CALGB140503試験・・・IA期非小細胞肺がんに対する区域切除 / 部分切除と肺葉切除

病巣最大径が2cm以下でその充実性成分が全体の50%超、所属リンパ節転移を伴わない早期肺がんに対し、肺葉切除術に対してより切除範囲の少ない区域切除術の治療成績(無再発生存期間)が劣らないことを示したJCOG0802試験について、2022年の初めに紹介しまし…

・CheckMate153試験再び・・・途中でやめられません

既治療非小細胞肺がんに対するニボルマブの継続投与と1年間期間限定投与を比較する第IIIb / IV相試験のCheckMate153試験について紹介します。 Continuous Versus 1-Year Fixed-Duration Nivolumab in Previously Treated Advanced Non–Small-Cell Lung Cance…

・病名、病状未告知での肺がん治療は許されるのか

いま、90代後半の進行肺がん患者さんを担当しています。 EGFR遺伝子変異陽性(エクソン19欠失変異)、がん性胸水を伴っています。 PSは3相当、一定の理解力はあり、日常会話は普通にこなせます。 さて、どうしたものか。 この患者さんとはまた別件で、他の診…

・最近の出来事あれこれ

最近、いろいろあって疲れました。 ここでちょっと吐き出して頭をリフレッシュします。 ・50代女性 健康診断で胸部異常陰影を指摘されたとのことで受診されました。 CTを撮影して精査したところ、小さいものの画像所見から明らかに原発性肺腺がんです。 外科…