非小細胞肺がんを対象としたニボルマブ+イピリムマブ併用療法 の多施設共同臨床試験に係る現状と重要な注意事項について|国立がん研究センター (ncc.go.jp)
進行非小細胞肺がんに対し、
A群:プラチナ併用化学療法+ペンブロリズマブ
B群:プラチナ併用化学療法+ニボルマブ+イピリムマブ
の2群について比較し、A群に対するB群の優越性を検証しようとしたJCOG2007試験、通称NIPPON試験が、B群における治療関連死が相次いだため、2023/03/30付で試験中止となり、2023/04/28に公表されました。
言い換えるなら、
進行肺腺がん:KEYNOTE-189レジメン vs CheckMate 9LAレジメン
進行肺扁平上皮がん:KEYNOTE-407レジメン vs CheckMate 9LAレジメン
のガチンコ勝負を1件の臨床試験で検証しようとしたところ、CheckMate 9LAレジメンにおける治療関連死が許容範囲を超えたため、中止せざるを得なくなった、ということです。
治療関連死により亡くなられた患者さん、ご家族に謹んでお悔やみを申し上げます。
がん薬物療法と治療関連死ないしは重篤な後遺障害の可能性は不可分の関係にあります。
そうはいっても、7.4%(13人に1人)が治療関連死に至るとなると、その頻度はやはり高い気がします。
死因は、肺臓炎4件、サイトカイン放出症候群3件、心筋炎(疑い含む)2件、敗血症1件、血球貪食症候群1件と、免疫関連有害事象を想定させるものばかりです。
ペンブロリズマブよりも、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法の方が免疫関連有害事象を合併するリスクが高い、ということは言えそうです。
メディアで大きく取り上げられたこともあり、しばらくの間はニボルマブ+イピリムマブ併用療法は患者さんにお勧めしづらいです。
私の母もニボルマブ+イピリムマブ併用療法で恩恵を受けましたが、次回治療をどうするべきか、正直に申し上げて二の足を踏みます。
追跡調査の結果、B群が主要評価項目を達成した、などとなれば、更に悩みは深まることになるでしょう。