・まさかのウロキナーゼ入手困難・・・その理由は・・・!?

20220722_mochida.pdf (jrs.or.jp)

 

 悪性胸水のコントロールに苦戦しています。

 EGFRエクソン19欠失変異陽性の患者さんだったので、オシメルチニブがよく効くだろうと高をくくっていたのですが、そうは問屋が卸しませんでした。

 軽い皮膚障害以外に目立った副作用もなくこれまで来ていますが、今のところ効果もそれなりです。

 いったんは胸水が減少するかに見えたものの、その3日後には増加に転じ、さらにその3日後には片側胸郭がほとんど真っ白になってしまいました。

 胸腔穿刺で一時的に一定量の胸水を排除して凌ごうとするも、胸水が多房化しており効果が期待できません。

 やむを得ず、ダブルルーメンのトロッカーカテーテルを留置してみましたが、思ったほどには胸水が出てきません。

 仕方がないから繊維素溶解薬であるウロキナーゼを注入して、多房化胸水の被膜を溶かそうと画策していたところ・・・

 まさかのウロキナーゼ供給不安で、私の勤務先では手に入らないことが分かりました。

 理由を調べて2度びっくり。

 こんなところにも新型コロナウイルス感染症の影が・・・。

 さらに、原薬は中国国民から収集された尿から分離精製され、ドイツで最終調整を行われたものだったとのこと。

 「世界で販売されているウロキナーゼ製剤の尿の調達先は全て中国」

 「中国では近代化策に加えて新型コロナウイルスによる採尿機会の激減」

と驚くべき文言が並んでいます。

 こりゃ一朝一夕には解決しません。

 サプライチェーンを考え直さないと・・・。

 

 代わりになる方法を思いつかないので、胸水を完全排除するのは諦めました。

 進行肺がんの超高齢患者さんなので、外科的に胸腔内掻把なんて思い切った手段もとれません・・・。

 60-70点くらいの仕上がりを目指します。

 

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