・ADAURA試験のほぼ4年追跡調査から

 

 EGFR遺伝子変異陽性完全切除後非小細胞肺がんに対する、オシメルチニブ術後補助療法の有効性を検証した第III相ADAURA試験。

 約4年追跡調査後のデータが論文として公表されています。

 圧倒的なオシメルチニブ優位のデータは、4年追跡調査後も不動のようです。

 

 

Adjuvant Osimertinib for Resected EGFR-Mutated Stage IB-IIIA Non-Small-Cell Lung Cancer: Updated Results From the Phase III Randomized ADAURA Trial

 

Roy S Herbst et al.
J Clin Oncol. 2023 Jan 31;JCO2202186. 
doi: 10.1200/JCO.22.02186. 
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背景:

 第III相ADAURA試験の主解析において、完全切除後IB-IIIA期EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん患者に対する術後補助療法として、オシメルチニブは偽薬に対して有意に無病生存期間を延長することが示された(ハザード比0.20、99.12%信頼区間0.14-0.30、p<0.001)。今回は無病生存期間の追跡調査結果について報告する。

 

方法:

 682人のIB-IIIA期(AJCC/UICC分類第7版準拠)EGFR遺伝子変異(エクソン19欠失変異もしくはL858R点突然変異)陽性非小細胞肺がん患者を1:1の比率で(割り付け調整因子は病期、遺伝子変異の種類、人種)無作為にオシメルチニブ群(80mg/日内服を1日1回、3年間)と偽薬群に割り付けた。担当医および患者が必要と判断したときには、無作為割付前に術後補助化学療法が行われた。主要評価項目はII-IIIA期の患者を対象とした主治医判定に基づく無病生存期間とし、ログランクテストを用いて解析した。早期に無病生存期間の統計学的有意差が認められたため、それ以上の解析は公に立案されなかった。副次評価項目にはIB-IIIA期の患者を対象とした無病生存期間、全生存期間、安全性が含まれていた。プロトコールに規定された探索的評価項目として、再発様式解析や中枢神経系に関する無病生存期間が設定されていた。

 

結果:

 2015年11月から2019年2月までの期間で、オシメルチニブ群339人、偽薬群343人が集積された。2022年4月11日のデータカットオフ時点で、II-IIIA期の患者の追跡期間中央値はオシメルチニブ群44.2ヶ月、偽薬群19.6ヶ月だった。無病生存期間中央値はオシメルチニブ群65.8ヶ月(95%信頼区間54.4-未到達)、偽薬群21.9ヶ月(95%信頼区間16.6-27.5)で、ハザード比0.23(95%信頼区間0.18-0.30)、4年無病生存割合はオシメルチニブ群70%、偽薬群29%だった。全患者集団(IB-IIIA期)を対象に解析すると、無病生存期間中央値はオシメルチニブ群65.8ヶ月(95%信頼区間61.7-未到達)、偽薬群28.1ヶ月(95%信頼区間22.1-35.0)、ハザード比0.27(95%信頼区間は0.21-0.34)、4年無病生存割合はオシメルチニブ群73%、偽薬群38%だった。偽薬群と比較して、オシメルチニブ群では局所再発、遠隔転移再発を来した患者共に少なく、再発割合はオシメルチニブ群27%、偽薬群60%(遠隔転移再発割合はオシメルチニブ群13%、偽薬群31%、局所再発割合はオシメルチニブ群12%、偽薬群23%、遠隔転移再発・局所再発合併割合はオシメルチニブ群2%、偽薬群6%)だった。II-IIIA期の患者を対象に中枢神経系に関する無病生存期間を評価したところ、4年割合はオシメルチニブ群90%、偽薬群75%、ハザード比0.24(95%信頼区間0.14-0.42)だった。全患者集団(IB-IIIA期)では4年割合はオシメルチニブ群92%、偽薬群81%、ハザード比0.36(95%信頼区間0.23-0.57)だった。安全性評価の長期追跡結果は当初の解析結果と変わりなかった。

 

結果:

 偽薬と比較して、オシメルチニブの無病生存期間延長効果、局所及び遠隔転移再発リスク低減効果、中枢神経系の無病生存期間延長効果、長期追跡結果でも揺るがない安全性が最新の追跡調査結果で示され、EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんに対するオシメルチニブ術後補助療法の有効性を支持する結果となった。