・病理病期II-IIIA期EGFR遺伝子変異陽性肺がんの術後オシメルチニブ、適応拡大

 2022年08月24日付で、病理病期II-IIIA期のEGFR遺伝子変異陽性肺がん患者さんに対し、術後補助療法としてオシメルチニブが使用可能になりました。

 

アストラゼネカのタグリッソ、早期EGFR変異陽性肺がんの術後補助療法として適応拡大 (astrazeneca.co.jp)

 

 その根拠になったのは、第III相ADAURA試験です。

oitahaiganpractice.hatenablog.com

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 根治切除可能なEGFR遺伝子変異陽性肺がん患者さんに対して、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬による術後補助化学療法が患者さんの利益につながるかどうかというテーマは随分早くからありましたが、これでようやく一つの決着を見たことになります。

 個人的には、オシメルチニブ3年間の補助療法を始める前に、みなさんしっかりプラチナ併用術後補助化学療法を受けるのだろうか、ということが気になります。

 ADAURA試験の論文を紐解くと、以下のような記載があります。

・II-IIIA期の患者の76%はプラチナ併用術後補助化学療法を受けていた

・プラチナ併用術後補助化学療法を受けた患者集団では、2年無病生存割合はオシメルチニブ群89%(95%信頼区間83-93)、プラセボ群49%(95%信頼区間41-56)でハザード比0.16(95%信頼区間0.10-0.26)

・プラチナ併用術後補助化学療法を受けなかった患者集団では、2年無病生存割合はオシメルチニブ群89%(95%信頼区間81-94)、プラセボ群58%(95%信頼区間49-67)でハザード比は0.23(0.13-0.40)

 この内容からは、II-IIIA期の患者に限って言うならば、プラチナ併用術後補助化学療法は省略して、いきなりオシメルチニブ3年間補助療法を始めても、治療効果には大差ないような印象を受けます。私が治療を受ける立場なら、正直言って化学療法は省略して、オシメルチニブから始めたいですね。