新型コロナウイルス感染症診療は、患者数の増加とともに日に日に混迷の度合いを深めています。
どんなに本人や家族が希望しても、保健所が入院勧告すべき病状にない患者さんは、基本的に入院治療させてもらえないようです。
そうした事例があったため、所轄の保健所に確認したところ、上記回答でした。
一般病棟で、一般の保険診療として対応するならば、病院判断でそうしてもらってもいいですよ、保健所としては積極的な介入はできませんよ、とのこと。
やむを得ず連日外来に通ってもらって、状態を確認しながら点滴、内服の治療調整を行っています。
この3日間で、まともな食事はゼリーしか口にしていないと患者さんに言われ、途轍もない寂寥感に襲われました。
既に新型コロナウイルス感染症と診断済みの患者さんを受け入れしてほしいと深夜帯に救急隊から要請が来たりします。
本来なら診断後速やかに専用病床に収容すべきだった患者さんのようですが、おそらく空床がなくて入院させてあげられなかったのでしょう。
言うまでもなく、当院も専用病床は認知症高齢者の新型コロナウイルス感染者で満床で、お断りせざるを得ませんでした。
新型コロナウイルス感染症抗原検査キットが、あちこちの量販店で入手できるようになりました。
先日受診されたご家族は、ご自宅でこうしたキットを用いて調べたところ、1人だけ陽性だったので再検してほしいとのことで、みなさんで発熱外来を受診されました。
冒頭の写真には、病院で施行した抗原検査キット(「COVID19Ag」と明記されている方)とご自宅で行われた抗原検査キット(より小ぶりな方)を3人分並べて示しています。
一番下の方は、病院用、ご自宅用ともに2本の線が見えていて、どちらも陽性と判定できます。
真ん中の方は、病院用、ご自宅用ともに1本だけしか線が出ておらず、どちらも陰性と判定できます。
困るのは一番上の方です。
ご自宅用は1本の線のみで陰性と判定されますが、病院用はうっすらとですが確実に2本の線が見えていて、陽性と判定しました。
全てのご自宅用検査キットに通じるわけではないかもしれませんが、この時の経験から、恐らく病院用の検査キットの方が感度が高いのだろうと推察しています。
先ほど時間外外来で診断した患者さん、症状は咳と痰、呼吸困難感はあるものの平熱で、念のために診察開始前に病院用抗原検査キットを用いて調べたところ、一番上の方よりもさらに薄いながらも2本の線が見えていて、新型コロナウイルス感染症と診断しました。
平熱だからといって油断はできません。
来院後に問診したところ、同居しているご家族がつい先日まで新型コロナウイルス感染症で自宅療養していたのだそう。
そういう大事な情報は、電話で相談する時点できちんと申告して頂きたいものです。