肺がん治療中の休薬について、新聞の「読者の声」コーナーに寄稿したので読んでみてね、というご連絡を患者さんからいただきました。
効果が出ている薬を休薬するのは、担当医の立場では勇気のいることです。
しかし、患者さんから申し入れがあったときには、真剣に考えなければならないでしょう。
副作用、治療費負担などに思いを馳せて、休薬のメリット・デメリットをよく話し合ってあえて休薬するのは、考え方としてもっておいていいように思います。
月日が経つのは早いもので、余命半年の告知を受けて11年が過ぎた。担当医師や周囲の方の温かい支援のたまものだと感謝している。
抗がん剤による治療を受けているが、闘病の中で学ぶことは多い。当初、複数の宗教団体の信者から入信を勧められたこともあったが、
「あなたたちが信じるのは自由だが、私は宗教で病気が治るとは思っていない」
と断った。
現在は5種類目の抗がん剤を服用し、定期的にCTやMRI検査などを受けている。副作用は厳しく、気力、体力ともに消耗する。その軽減と、耐性の獲得を遅らせることを目的に、医師や薬剤師に計画的な休薬を提案した。
答えは、
「症例がないので教示できない」
とのこと。もっと症例の研究を進めれば、患者の負担軽減、さらには高額医療費の削減にもつながるのではないかと思うのだが・・・どうだろうか。
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進行肺がんの患者さんと10年以上にわたって連絡を取り合えるというのは、非常に幸せなことです。
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休薬による患者さんの負担軽減、高額医療費の削減という話題では、免疫チェックポイント阻害薬が話題に上りやすいですね。一方、今回の記事で取り上げた患者さんは分子標的薬で治療を受けていらっしゃいますが、この領域でも同じような視点が必要です。
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