・第IV相IMbrella A試験・・・IMpower133試験の長期追跡結果

 

 進展型小細胞肺がん患者さんを対象に、アテゾリズマブ+カルボプラチン+エトポシド併用療法の有効性を証明した第III相IMpower133試験。

 旧ブログでは幾度となく取り上げましたが、我が国で適用できるようになってからもう4年も経過したのですね。

 早いものです。

 

大分での肺がん診療:免疫チェックポイント阻害薬(アテゾリズマブ)、いよいよ肺小細胞癌の領域へ (junglekouen.com)

 

大分での肺がん診療:米国食品医薬品局、進展型肺小細胞癌に対する初回アテゾリズマブ併用療法を承認 (junglekouen.com)

 

大分での肺がん診療:カルボプラチン+エトポシド+アテゾリズマブ、我が国でも進展型小細胞肺癌一次治療に使用可能に (junglekouen.com)

 

大分での肺がん診療:IMpower133試験の日本人サブグループ解析結果 (junglekouen.com)

 

大分での肺がん診療:進展型小細胞肺がんにおけるIMpower133レジメンとCASPIANレジメン (junglekouen.com)

 

大分での肺がん診療:IMpower133試験、updated data (junglekouen.com)

 

 今回は、IMpower133試験におけるアテゾリズマブ+カルボプラチン+エトポシド併用療法群の長期生存者18人における限定的なものではありますが、長期追跡結果が公表されていたので取り上げてみました。

 持続的な腫瘍制御効果(durable response)は小細胞肺がんでも認められるようです。

 進展型小細胞肺がんの患者が5年生存、しかも10人に1人以上の割合で・・・隔世の感があります。

 

 

 

 

Five-Year Survival in Patients with ES-SCLC Treated with Atezolizumab in IMpower133: Imbrella a Extension Study Results

 

S.V. Liu et al.
WCLC 2023, abst #OA01.04
https://cattendee.abstractsonline.com/meeting/10925/Session/83

 

背景:
 第III相IMpower133試験において、進展型小細胞肺がんに対するアテゾリズマブ+カルボプラチン+エトポシド(Atezo-CE)併用療法は偽薬+カルボプラチン+エトポシドplacebo-CE)併用療法と比較して全生存期間、無増悪生存期間を延長した。IMpower133試験の運用が終了した後も、Atezo-CE併用療法を受けた患者集団は単アーム長期観察研究である第IV相IMbrella A試験に参加できることとされていた。IMpower133試験の延長線上として、今回IMbrella A試験の結果を報告する。

 

方法:
 IMpower133試験の参加者は、IMpower133試験終了時点でアテゾリズマブの投与を継続していて、居住地域の実地臨床ではアテゾリズマブが継続できない、あるいはIMpower133試験の枠組み内ではアテゾリズマブを中止したが存命のまま追跡調査されている状態にあれば、オープンラベル、非ランダム化、他施設共同第IV相IMbrella A拡大試験に参加できることとされていた。placebo-CE群の患者は不適格とされた。生存期間、治療状況、安全性について評価した。

 

結果:

 Atezo-CE群(IMpower133試験では201人が本群に割り付けられた)としての追跡期間中央値は59.4ヶ月(データカットオフは2023/03/16)で、18人の患者がIMbrella A試験に組み入れられた。Atezo-CE群の1年生存割合52%(IMpower133試験におけるplacebo-CE群39%)、2年生存割合22%(IMpower133試験におけるplacebo-CE群16%)、3年生存割合16%、4年生存割合13%、5年生存割合12%だった。データカットオフ時点で存命だったのは18人中11人で、そのベースライン時点での年齢中央値は59歳、4人はECOG-PS 1、2人は脳転移を合併していて、肝転移を合併していた患者はいなかった。