KEYNOTE-604試験・・・どう受け止めるか

 進展型小細胞肺がんの領域に、アテゾリズマブだけでなくペンブロリズマブも分け入ってきた。

 本当にこの2つの薬は競合する。

 既に実地臨床で使われているアテゾリズマブ+カルボプラチン+エトポシド併用療法は、IMpower133試験の結果に基づいている。

http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e966769.html

http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e961932.html

http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e943506.html

 

 今回のKEYNOTE-604試験、ハザード比と95%信頼区間を見ると、無増悪生存期間、全生存期間いずれも統計学的有意に延長しているように見える。

 しかし実際には、事前に設定した有意水準を達成したのは無増悪生存期間のみで、全生存期間では達成できなかったらしい。

 主要評価項目を複数としたが故の悩ましい結論なのだろう。

 

 いまだプレスリリースの段階ではあるが、今後詳細なデータが示されるのを待ちたい。

 以下、MSD社の2020年01月15日付のプレスリリースから抜粋。

KEYTRUDA®(ペムブロリズマブ)、

進展型小細胞肺がんの初回治療において化学療法との併用療法が

化学療法単独と比較して無増悪生存期間を有意に改善

第3相KEYNOTE-604試験のもう一つの主要評価項目である全生存期間は

統計学的には有意な改善を認めず

データは今後の医学学会で発表予定

 2020年1月6日 ニュージャージー州ケニルワース ― Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(米国とカナダ以外ではMSD)は本日、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)患者の初回治療において、抗PD-1抗体KEYTRUDA®(一般名:ペムブロリズマブ)と化学療法との併用療法が第3相KEYNOTE-604試験における二つの主要評価項目の一つである無増悪生存期間(PFS)を延長したことを発表しました。この試験で、KEYTRUDA®と化学療法(エトポシド+シスプラチンまたはカルボプラチン)の併用療法では、前回の中間解析で、化学療法単独と比較してPFSが統計学的に有意に改善しました(HR=0.75 [95% CI, 0.61-0.91])。この試験の最終解析で、KEYTRUDA®と化学療法の併用療法では化学療法単独と比較して全生存期間(OS)も延長しましたが、事前に設定された解析計画としては統計学的に有意な改善が示されませんでした(HR=0.80 [95% CI, 0.64-0.98])。本試験におけるKEYTRUDA®の安全性プロファイルは、これまでに報告されている試験の結果と一貫していました。この結果は今後の医学学会で発表するとともに、規制当局と協議を進めます。

KEYNOTE-604試験について

 KEYNOTE-604試験は、新たにES-SCLCと診断された患者を対象としてKEYTRUDA®と化学療法の併用療法を化学療法単独と比較する無作為化二重盲検プラセボ対照第3相試験です(ClinicalTrials.gov, NCT03066778)。二つの主要評価項目はOSおよびPFSでした。副次評価項目は、客観的奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性、QoL(quality of life、生活の質)などでした。この試験では登録患者453名を次のいずれかに無作為に割り付けました。

 KEYTRUDA®(200 mg固定用量を各21日サイクルの初日に投与)およびエトポシド(100 mg/m2を初日、2日目、3日目に投与)および治験責任医師が選択するプラチナ製剤(カルボプラチンAUC 5を初日に投与またはシスプラチン75 mg/m2を初日に投与)

プラセボおよびエトポシド(100 mg/m2を初日、2日目、3日目に投与)および治験責任医師が選択するプラチナ製剤(カルボプラチンAUC 5 mg/mL/分を初日に投与またはシスプラチン75 mg/m2を初日に投与)