・第III相JIPANG試験、5年間追跡結果

 II-IIIA期の非小細胞肺がん手術成績を向上させる取り組みは、単なる術後補助化学療法から術前・術後に免疫チェックポイントやオシメルチニブを絡めた周術期治療へと幅を広げようとしています。

 術後補助療法としてのシスプラチン+ペメトレキセド(PemP)併用療法の意義を検証しようとしたJIPANG試験、シスプラチン+ビノレルビン(NP)併用療法に対する優越性を証明するとした主要評価項目は達成できませんでしたが、後につながる知見を残していると思います。

 

・全体集団での無再発生存期間はPemP併用療法が優れていそう

・全体集団での全生存期間はほぼ同等

・EGFR遺伝子変異陽性患者集団での無再発生存期間、全生存期間はNP併用療法が優れていそう

 

 漠たることしか言えませんが、EGFR遺伝子変異陽性と判明している患者さんの周術期治療でプラチナ併用化学療法を行う場合には、ペメトレキセドよりもビノレルビンを使用する方がいいのかもしれません。

 

 

 

 

Five-Year Overall Survival Analysis of the JIPANG Study: Pemetrexed or Vinorelbine Plus Cisplatin for Resected Stage II-IIIA Nonsquamous Non-Small-Cell Lung Cancer

 

Hirotsugu Kenmotsu et al.
J Clin Oncol. 2023 Sep 1;JCO2300179. 
doi: 10.1200/JCO.23.00179.

 

背景:

 JIPANG試験は完全切除後病理病期II-IIIA期の非扁平上皮非小細胞肺がん患者を対象に、術後補助化学療法としてシスプラチン+ペメトレキセド(PemP)併用療法とシスプラチン+ビノレルビン(NP)併用療法を比較したオープンラベル第III相臨床試験である。今回は、JIPANG試験における全生存期間(OS)の長期追跡結果について報告する。

 

方法:

 適格患者はPemP群とNP群に無作為割付された。主要評価項目は無再発生存期間(RFS)で、副次評価項目にOSが含まれていた。今回は、患者の最終登録から5年経過した時点でデータを収集し解析した。

 

結果:

 2012年3月から2016年8月までに804人の患者が登録され、うち783人が適格と判断され、無作為割付された(PemP群389人、NP群384人)。RFS中央値はPemP群43.4ヶ月、NP群37.5ヶ月、ハザード比0.95(95%信頼区間0.79-1.14)だった。3年RFS割合はPemP群51.6% vs NP群51.0%、5年RFS割合はPemP群44.9% vs NP群42.6%だった。追跡期間中央値77.3ヶ月の時点で、両群ともにOSは中央値に達しておらず、ハザード比1.04(95%信頼区間0.81-1.34)、3年OS割合はPemP群87.0% vs NP群84.1%、5年OS割合はPemP群75.0% vs NP群75.6%だった。EGFR遺伝子変異陽性患者192人のサブグループ解析(PemP群97人、NP群95人)でサブグループ解析を行ったところ、5年OS割合はPemP群70.9%、NP群86.1%だった。

 

 

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