一次治療、二次治療でのOsimertinib(ELCC2016)

 ELCC2016で、Osimertinibの一次治療、二次治療におけるupdate dataが報告されていました。

 ただし、それぞれ第I相試験、第II相試験の結果に過ぎないですし、一次治療の報告に至っては無増悪生存期間中央値の報告結果が追跡期間中央値よりも短いので、本来はまだ発表されてはならないデータだと思います。

 しかしながら、「無増悪生存期間が16.6ヶ月よりも長くなりそう」というメッセージ自体が大きな意味を持っています。

 Ramalingam教授が述べているように、従来のEGFR阻害薬の治療効果を遥かに凌駕しそうなのは間違いありません。

 いまのところOsimertinibを初回治療から使用できるようになる目処は立っていませんが、FLAURA試験の結果が明らかになれば、おのずと適用条件が見直されることになるでしょう。

 一方、二次治療における効果はもはや折り紙つきといっていいでしょう。

 もはや、化学療法との比較試験を行うこと自体が倫理的に許されるのかどうか、という段階にあるような気がします。

Date: 14 Apr 2016

Topic: Lung and other thoracic tumours / Anticancer agents & Biologic therapy

・EGFR阻害薬はEGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺癌の標準治療である

・EGFR阻害薬を使用しても、50-60%程度はT790M耐性変異により治療耐性になる

・OsimertinibはExon 19 / 21遺伝子変異およびT790M耐性変異に対する阻害薬である

・EGFR遺伝子変異を有する局所進行もしくは進行非小細胞肺癌患者を対象としたAURA試験の第I相試験、expansion cohortから、一次治療としてOsimertinibを投与された60人の患者について解析した

・30人は80mg/日、30人は160mg/日を内服した

・追跡期間の中央値は16.6ヶ月だった

・奏効割合は77%

・無増悪生存期間中央値は160mg/日内服群で19.3ヶ月、80mg/日内服群では中央値未到達(解析時点で、半数以上の患者が再発なく生存中)だった。

・有害事象はわずかで、80mg/日内服群ではちょうど10%の患者が毒性のために減量が必要になった程度だった

・発表者であるSuresh Ramalingam教授は、「奏効割合はこれまでのどのEGFR阻害薬よりも優れている。また、PFSもこれまでのEGFR阻害薬が10-13ヶ月程度だったのに比べれば、雲泥の差がある」と述べている

・500人以上の患者を対象に、初回治療としてのOsimertinibとErlotinib / Gefitinibを比較する第III相FLAURA試験の結果は、1年半以内には明らかになると目されている

・EGFR阻害薬治療歴がある、EGFR遺伝子変異陽性、T790M耐性変異陽性の非小細胞肺癌患者を対象としたAURA試験からの解析データが報告された

・奏効割合は第I相試験の用量設定部分からの63人では71%、2つの第II相試験からの411人では66%だった

・無増悪生存期間中央値は第I相試験では9.7ヶ月、第II相試験では11ヶ月だった

間質性肺炎やQT延長の頻度はそれほど高くなかった

References

1. LBA1_PR: Osimertinib as first-line treatment for EGFR mutation-positive advanced NSCLC: updated efficacy and safety results from two Phase I expansion cohorts. S. Ramalingam, US. Thursday 14th April 2016 ? 15:30-15:45 New strategies for EGFR addicted NSCLC Room B

LBA2_PR: Osimertinib (AZD9291) in pre-treated pts with T790M-positive advanced NSCLC: updated Phase 1 (P1) and pooled Phase 2 (P2) results. J. Yang, Taiwan. Thursday 14th April 2016 ? 15:45-16:00 New strategies for EGFR addicted NSCLC Room B