倫理的配慮からやむを得ない試験デザインだったのだと思うが、プロトコール治療後の免疫チェックポイント阻害薬クロスオーバーによってnegative studyとなってしまったのは痛恨の出来事だろう。
一方、PD-L1中等度発現以上の患者群で、どの程度クロスオーバーされていたのかは興味深い。
ここをきちんと解析することによって、中等度発現以上のサブグループではやっぱり使っていいんじゃないの、Pembrolizumabとバッティングするけど考えてみていいんじゃないの、ということになるかも知れない。
ともかくも、PD-1 / PD-L1に関わる治療開発に当たっては、よく考えて試験デザインをしないとならないようだ。
Update on Phase III JAVELIN Lung 200 Trial of Avelumab Monotherapy in Previously Treated Patients With Advanced NSCLC
By The ASCO Post
Posted: 2/20/2018 4:27:50 PM
Last Updated: 2/20/2018 9:40:04 PM
2月15日、第III相JAVELIN Lung 200試験の追跡調査結果が公表された。本試験の目的は、プラチナ併用化学療法後に病勢進行した切除不能、術後再発、もしくは進行非小細胞肺がん患者に対する二次治療として、Avelumabとドセタキセルの効果を比較することだった。
本試験は主要評価項目であるPD-L1発現が1%以上ある患者の全生存期間延長を達成できなかった(ハザード比0.90, 95%信頼区間0.72-1.12, p=0.1627)が、プロトコール治療終了後に免疫チェックポイント阻害薬の治療へクロスオーバーされたドセタキセル群の患者割合が想定以上に高く、このことが全生存期間結果に影響している可能性がある(プロトコール治療後に免疫チェックポイント阻害薬治療を受けた患者の割合は、ドセタキセル群で26.4%、Avelumab群で5.7%)。
一方で、PD-L1発現が中等度以上のサブグループ(PD-L1発現割合が50%以上の患者群で、患者全体の40%程度を占める)およびPD-L1発現が高度のサブグループ(PD-L1発現割合が80%以上の患者群で、患者全体の30%を占める)では、ドセタキセル群に対するAvelumab群の全生存期間延長効果が確認された(中等度以上のサブグループではハザード比0.67、95%信頼区間は0.51-0.89、p=0.0052、高度のサブグループではハザード比0.59、95%信頼区間は0.42-0.83、p=0.0022)。
今回の臨床試験で確認された有害事象のプロファイルは、過去のJAVELIN臨床試験群と比べて、新奇なものはなかった。
JAVELIN Lung 200の詳細な結果は、今後の学術集会で明らかにされる予定で、製薬会社は規制当局とデータを共有し、今後の薬事承認申請に向けて交渉を進めることになる。
2017年、Avelumabは進行メルケル細胞腫瘍に対してFDAとEUから、進行尿路上皮癌に対してFDAから薬事承認を受けている。また、2017年12月には、未治療進行腎細胞がんに対する多剤併用療法の一翼として、FDAのブレークスルー治療指定を受けている。