今年の1月にもらった2018年世界肺癌会議のパンフレット、先日もう1回もらった。
その中で、KEYNOTE-407試験における併用薬ごとの結果比較、しげしげ眺めてみると、面白いなと感じた。
KEYNOTE-407試験に関する過去の記事は、以下を参照。
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e935263.html
さて、くだんのパンフレット資料解説本文中には、
・・・パクリタキセルを投与された患者群における全生存期間中央値はペンブロリズマブ併用群14.0ヶ月 vs プラセボ併用群10.3ヶ月(HR 0.67、95%CI:0.48-0.93)であった。一方、nab-パクリタキセルを投与された患者群のOS中央値は未到達 vs. 12.6ヶ月(HR 0.59、95%CI:0.36-0.98)であり、全生存期間に対する効果は同等だった。
と書かれている。
以下、統計値を度外視して見てみると、いくつか気になる点がある。
・ペンブロリズマブ併用群同士で見てみると、パクリタキセル群14.0ヶ月 vs nab-パクリタキセル群未到達
・プラセボ併用群同士で見てみると、パクリタキセル群10.3ヶ月 vs nab-パクリタキセル群12.6ヶ月
・・・私なら、有害事象の点も考えると、比較的病院に通いやすい患者さんならnab-パクリタキセルを優先的に使いたくなる。
しかも、生存曲線を見ると、かたや15ヶ月以降はプラセボ併用群と差がなくなり、かたや9ヶ月以降は末広がりに差が広がるばかり。
ペンブロリズマブ併用群の12カ月生存割合は、パクリタキセル併用時はざっと60%台前半、nab-パクリタキセル併用時はざっと約70%というところだが、これが18ヶ月生存割合となると、前者はざっと30%強、後者はかわらず約70%というところだろう。
ペンブロリズマブの特性であるdurable response / long tail survivalをよく示しているのは、nab-パクリタキセル併用時ではないか。
背景になっているメカニズムはよく分からないけれど、私なら、PD-L1<50%の進行扁平上皮癌患者には、ペンブロリズマブ+カルボプラチン+nabパクリタキセルを、治療スケジュールをよく考えながら使いたい。