日本臨床腫瘍学会総会1日目 ISY-7 ALKについて

2016年 第14回日本臨床腫瘍学会 in Kobe 1日目 2016/7/28

<International Symposium 7>ALK阻害薬とその他の分子標的薬

 とりあえず、ALKに関連した前半部分を記します。

■ ISY-7-1 Alectinib vs Crizotinib

 遅刻してちょっとしか聞けませんでした。

 たぶんJ-ALEX studyの話だったのだと思います。

 ALK再構成を有する肺癌では、ALK阻害薬が効かなくなったらアリムタも使わないとね、という質疑応答が最後にされていました。

■ ISY-7-2 Where we are with second generation ALK inhibitor

 男女とも長寿世界一の国でお仕事をされている香港の先生から

・ALK阻害薬とかけて、回転鮨のネタととく

・その心は、いろいろあるけれど、選ぶ基準も様々である

・ALK阻害薬は、効果・中枢神経系への移行性・毒性を基準に選びわける

・ASCEND-3:Felip et al, ASCO 2015 #8060

 http://meetinglibrary.asco.org/content/145907-156

 ALKr(+), 未治療患者を対象としたジカディア単剤の単アーム第II相試験

 中枢神経系に有効

・ASCEND-2:Mok et al, ASCO 2015 #8059

 http://meetinglibrary.asco.org/content/144861-156

 ALKr(+), プラチナ併用化学療法およびザーコリ治療歴のある患者を対象としたジカディアの第II相試験

 既治療だと、無増悪生存期間は既治療の場合の半分

・ASCEND-4

 ALKr(+), 未治療患者を対象に、プラチナ併用化学療法とジカディアを比較する第III相試験、現在進行中

・ASCEND-5

 ALKr(+), 既治療患者を対象に、二次化学療法とジカディアを比較する第III相試験

 ESMO 2016で結果が公表される予定

・ジカディアは消化管毒性が問題(嘔気、嘔吐、下痢)

・アレセンサの国際共同第II相臨床試験, Ou et al, J Clin Oncol 2016

 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26598747

 ザーコリ耐性後のALKr肺癌に対してアレセンサを使用

 奏効割合50%、奏効持続期間中央値11.2ヶ月、無増悪生存期間は8.9ヶ月

 138人中84人(61%)が治療前に中枢神経病変を合併していた

 中枢神経病変コントロール割合83%、中枢神経病変奏効持続期間中央値10.3ヶ月

・アレセンサの北米(米国・カナダ)共同第II相試験, Shaw et al, Lancet Oncol 2016

 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26708155

 ザーコリ耐性後のALKr肺癌に対してアレセンサを使用

 奏効割合48%

・中枢神経病変に対するアレセンサの有効性の統合解析, Gadgeel et al, WCLC 2015 ORAL33.05

 http://library.iaslc.org/search-speaker?search_speaker=25894

 上記2件の第II相試験における、中枢神経系病変を合併した患者に関する統合解析

 対象患者数は225人

 測定可能病変を有する患者は50人で、この対象における奏効割合は60%、病勢コントロール割合は90%

・Brigatinibに関する第I/II相試験, Camidge et al, ASCO 2015 #8062

 http://meetinglibrary.asco.org/content/148225-156

 Brigatinibの安全性プロファイルについての報告

 137人が対象

 嘔気45%、下痢36%、疲労36%、咳26%、頭痛26%

 治療開始から7日以内に咳、低酸素血症、肺異常陰影が出現する患者が9%

 当時評価可能だった患者72人で、奏効割合は全体で72%、そのうちザーコリ治療歴がある患者65人では69%、ザーコリ治療歴がない患者7人では100%

・ALTA study, Kim et al, ASCO 2016 #9007

 http://meetinglibrary.asco.org/content/165056-176

 ザーコリ耐性後のALKr肺癌に対してBrigatinibを使用する第II相試験

 90mg投与群と180mg投与群の2群に分けて治療

 222人が参加

 咳、低酸素血症、肺異常陰影で治療中止となったのが7人、うち1人が死亡

・ALTA1L study進行中

 ALTAILではなくALTA1L

 http://www.ariad.com/research-development/clinical-trials/

 ALKr肺癌に対して、一次治療でBrigatinib vs ザーコリの第III相試験

・Lorlatinib, Solomon et al, ASCO 2016 #9009

 http://meetinglibrary.asco.org/content/161846-176

 http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e856334.html

 参加した4人の患者で脳脊髄液を採取、脳脊髄液中と血清中のアルブミン非結合lorlatinib濃度比を測定したところ、0.61、0.65、0.77、0.96だったとのこと

 脳脊髄液への移行性は良好

・ALK阻害薬は、そのときそのときの患者さんのゲートキーパー変異に合わせて、適切なものを選択しなければならない

・再生検とFoundationOne(TM)

 http://foundationone.com/

・循環血漿中DNAを次世代シーケンサーで解析

 Guardant 360 panel screening

 http://www.guardanthealth.com/guardant360/