日本臨床腫瘍学会総会1日目 午後の部その2

■ EJ-3:How should we use ALK inhibitors separately?

・ASP3026:development stopped.

・AF-001JP study

 奏効割合94%、無増悪生存期間中央値は3年経過観察後も未到達

・J-ALEX study, 第III相試験 用量は300mg/日、有効中止で終了

・ALEX study, 第III相試験 用量は600mg/日、試験継続中

・J-ALEX studyの成功は、イレッサvsタルセバ、イレッサvsジオトリフと同様に分子標的薬同士の対決だったが、得られた結果はこれらとは次元が異なる

・PROFILE1014において、プラチナ併用化学療法に対してザーコリはHR 0.45と「圧倒的な差を以って」無増悪生存期間の優越性を示した

・J-ALEXにおいて、上記のザーコリに対してアレセンサはHR 0.34と「圧倒的な差を以って」「中間解析の段階で」無増悪生存期間の優越性を示した

・海外でのALK阻害薬開発状況

・ジカディア:ASCEND-1 study, Kim et al, Lancet Oncol 2016

 http://www.thelancet.com/journals/lanonc/article/PIIS1470-2045(15)00614-2/abstract

・アレセンサ:Ou et al, J Thorac Oncol 2016

 アレセンサの国際共同第II相臨床試験, Ou et al, J Clin Oncol 2016

 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26598747

 奏効割合50%

・Brigatinibに関する第I/II相試験, Camidge et al, ASCO 2015 #8062

 http://meetinglibrary.asco.org/content/148225-156

 奏効割合71%

・ザーコリとジカディアの逐次投与:Gainor et al, Clin Cancer Res 2015

 http://clincancerres.aacrjournals.org/content/21/12/2745.full-text.pdf

 ザーコリとジカディアの逐次投与で無増悪生存期間中央値は17.4ヶ月、全生存期間中央値は49.4ヶ月

・ジカディアの第I相試験:Shaw et al, N Engl J Med 2014

 http://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMoa1311107

・ALK耐性変異の症例報告:Toyokawa et al, J Thorac Oncol 2014

 http://www.jto.org/article/S1556-0864(15)30766-8/pdf

・Lorlatinib:G1202R耐性変異に有効な唯一の薬

 Shaw et al, N Engl J Med 2016

 http://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMoa1508887

 L1198F Lorlatinib耐性変異→一旦耐性になったCrizotinibへの感受性が回復

・どのゲートキーパー耐性変異にどのALK阻害薬が有効、という組み合わせが、複雑に絡み合っている

・中枢神経転移とザーコリ:Costa et al, J Clin Oncol 2015

 http://jco.ascopubs.org/content/33/17/1881.full.pdf+html

 ザーコリのCSF濃度/血清中濃度=0.03

 ザーコリは、中枢神経系に対しては効果が薄い

・J-ALEXでアレセンサ群中の脳転移を有していた14人の中で、脳転移の悪化のために病勢進行と判定されたのは1人だけだった

・ALK阻害薬のその他の分子標的

 ザーコリ:MET, ROS1

 アレセンサ:RET

 Lorlatinib:ROS1

 Brigatinib:EGFR

■ EJ-4:Homebrew clinical sequencing for Japanese cancer patients

・JIPANG studyとbiomarker

 完全切除後の原発性肺腺癌を対象に、シスプラチン+アリムタとシスプラチン+ナベルビンの術後補助療法としての効果を比較する第III相試験

 切除病巣のホルマリン固定パラフィン包埋試料を用いて現在進行中

・Ion Ampliseq, high sensitivity assay

RNA fusion analysis lung cancer reseach panel

 ALKr, RETr, ROS1r, NTRK

・Takeda et al, Ann Oncol 2015

 http://annonc.oxfordjournals.org/content/26/12/2477.abstract

 1)何らかの遺伝子変異があって分子標的治療を受けた人

 2)遺伝子変異がないけど治療を受けた人

 3)何らかの遺伝子変異があったが治療を受けなかった人

 の順に予後がよかった

・稀な遺伝子変異が見つかったときに、どうやって患者を治療に結びつけるか

 遺伝子変異があって、有効な治療薬もあるが、厚生労働省が認めていない使用法を保険診療で行うことはできない

 厚生労働省がcompassionate useとして許可するかどうか

 compassionate useは制度設計をしっかりしないと、歯止めが利かなくなることも

 バスケット・トライアルの治験に参加する?

 そうすると、home brew analysisでは治験依頼者に適格と認めてもらえないのでは?