CheckMate-026試験において、オプジーボはプラチナ併用化学療法を凌駕出来なかったと、Bristol-Meyers Squibb社が2016年8月5日付でプレスリリースしました。
かたや、類似薬のキートルーダに関するKEYNOTE-024試験では、明らかにプラチナ併用化学療法を凌駕して臨床試験が途中終了され、先行してプレスリリースされています。
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e856772.html
どちらもプレスリリースの段階で詳細なデータ公表は今後の学会の場に持ち越されますが、PD-L1発現>5%の患者を対象とするか、PD-L1発現>50%の患者を対象とするかでくっきりと明暗が分かれた形です。
また、主要評価項目である無増悪生存期間が延長しなくても、全生存期間が延長する可能性は、オプジーボであれば十分にありえますし、その場合には免疫チェックポイント阻害薬の臨床開発における評価項目のあり方について大きな議論が巻き起こることになるでしょう。
医療経済的な観点からも、免疫チェックポイント阻害薬を使用する際の効果予測の問題は、避けては通れない議論になります。
素直に結果を捉えれば、ドライバー遺伝子変異を持たない非小細胞肺癌患者に遭遇した場合、PD-L1発現を調べて、腫瘍細胞の50%以上が陽性なら初回治療でキートルーダを、50%未満が陽性なら通常の化学療法を行い、病勢進行に至った時点で(再生検をするかどうかは今後の議論になるでしょうが)オプジーボを用いる、という治療戦略になりそうです。
キートルーダによる一次治療の後に病勢進行になった場合はどうするんでしょうね。
二次治療でオプジーボを使うよりは、通常の化学療法に移行したほうが理にかなっているのでしょうね。
PD-L1発現>5%の非小細胞肺癌患者の初回治療におけるオプジーボとプラチナ併用化学療法の比較第III相試験(CheckMate-026)において、オプジーボは主要評価項目である無増悪生存期間を延長しなかった。
CheckMate-026試験はオープンラベル無作為化第III相臨床試験で、進行非小細胞肺癌患者をオプジーボ群と化学療法群に無作為に割り付けて比較した。治療歴がなく、PD-L1発現検索で陽性(>5%)の患者を対象とした。541人の患者を無作為割付し、オプジーボ群ではオプジーボ3mg/kgを2週間ごとに投与し、化学療法群では扁平上皮癌に対してはジェムザール+プラチナ製剤併用療法を、非扁平上皮癌に対してはアリムタ+プラチナ製剤併用療法を行った。主要評価項目は無増悪生存期間としていた。