ヤーボイ上乗せは小細胞癌には効かず

進展型小細胞肺癌に対するプラチナ製剤+エトポシド+ヤーボイ併用化学療法の第III相臨床試験で、生存期間延長効果なし

By Matthew Stenger

Posted: 8/5/2016 10:09:53 AM

Last Updated: 8/5/2016 10:09:53 AM

 Martin Reckらは、進展型小細胞癌の初回化学療法において、抗CTLA-4免疫チェックポイント阻害薬であるヤーボイをプラチナ製剤+エトポシド併用療法に上乗せする第III相臨床試験において生存期間延長効果は得られなかったと、Journal of Clinical Oncology誌に報告した。

 CA184-156二重盲検試験において、2012年の1月から2014年の9月にかけて34ヶ国、224施設から1,132人の患者が無作為割付された。シスプラチン/カルボプラチン+エトポシドにヤーボイを加える群(566人)と偽薬群(566人)に割り付けられた。シスプラチン/カルボプラチン+エトポシド併用療法は3週間ごとに4コース行われ、3コース目からヤーボイもしくは偽薬が3週間ごとに追加投与された。ヤーボイもしくは偽薬は、計4コース投与された後は12週間ごとに維持投与され、毒性により継続不能となるか、治療期間が計3年間を迎えるまで続けられた。

 維持療法に移行するまでに完全奏効、もしくは部分奏効にいたった患者では、担当医の意向に従って、維持療法開始前に予防的全能照射を行ってよいことになっていた。計954人の患者が、少なくとも1コースのプロトコール治療を受けた。ヤーボイ群は478人、偽薬群は476人だった。

主要評価項目は(intent-to-treat解析ではなく)プロトコール治療を受けた患者における全生存期間とされた。ヤーボイ群と偽薬群の患者背景と結果は以下の通り。

 主要評価項目である全生存期間は、両群で差を認めなかった。

 様々な因子ごとにサブグループ解析を行ったが、有意差がついたのは中枢神経系転移を有する患者を解析した場合のみで、これについても偽薬群の方が予後良好な傾向だった(ハザード比1.58、95%信頼区間1.02-2.44)。無増悪生存期間はヤーボイ群で有意に延長していた。

 有害事象に関する簡単なまとめは以下の通り。

 治療関連有害事象のために治療中止となったのはヤーボイ群で18%、偽薬群で2%で、ヤーボイ中止となった理由としては下痢(5%)、大腸炎(4%)が多かった。治療関連死は、ヤーボイ群で5人、偽薬群で2人認められた。

 Reckらは、

「新規に診断された進展型小細胞肺癌の患者に対し、化学療法にヤーボイを上乗せしても生存期間の延長効果はなかった。ヤーボイ併用化学療法による、想定外の有害事象はなかった。現在、小細胞肺癌患者を対象に、ヤーボイとPD-1抗体を併用するいくつかの臨床試験が進行中である。」

とコメントした。