ALK陽性肺癌とEnsartinib

ELCC 2017: Ensartinib Demonstrates CNS Activity in ALK-Positive NSCLC

By The ASCO Post

Posted: 5/9/2017 12:56:02 PM

Last Updated: 5/9/2017 12:56:02 PM

 Ensartinibは中枢神経系転移を有するALK陽性非小細胞肺がんに対して、中枢神経病変に対する有効性を示すことが、ELCC2017で発表された(Abst. #88O)。

 EnsartinibはALK、MET、ABL、Axl、EPHA2、LTK、ROS1、SLKを標的とする小分子チロシンキナーゼ阻害薬だ。

 今回の第I / II相多施設共同試験において、無症候性の中枢神経病変を有するALK陽性非小細胞肺がん患者26人が登録された。中枢神経病変以外に転移巣のない患者では、3mm以上の腫瘍径の病変が少なくとも1ヶあることが条件とされた。ALKチロシンキナーゼ治療歴がない患者、あるいはCrizotinibや第2世代ALKチロシンキナーゼ阻害薬(Alectinib、Ceritinib)の治療歴を有する患者が対象とされた。

 26人の患者は全て連日200mg/日以上のEnsartinibを服用し、その後の臨床試験における推奨用量は225mg/日に設定された。RECIST 1.1を用いて治療効果判定を行い、中枢神経病変についてはmodified Response Assessment in Neuro-Oncology criteriaを用いて評価した。

 中枢神経病変に対する治療効果はALK阻害薬治療歴の有無を問わず、全ての患者で認められた。治療開始時点で、13人(50%)では中枢神経系に標的病変を有し、残る13人(50%)は中枢神経系の非標的病変を有していた。中枢神経系に標的病変を有する患者群では、中枢神経系の奏効割合は69%で、完全奏効を1人含んでいた。加えて、stable diseaseは31%で、結局病勢コントロール割合は100%だった。中枢神経系に標的病変のある患者群で、3人はALKチロシンキナーゼ阻害薬治療歴がなく、これら患者の中枢神経系奏効割合は100%だった。中枢神経系に標的病変があり、Crizotinib治療歴のみがある患者8人では、中枢神経系奏効割合は62%だった。Crizotinibも第2世代ALKチロシンキナーゼ阻害薬も使用歴のある2人では、1人は奏効に達し、1人は病勢コントロールを保っていた。

 治療開始時点で中枢神経系の非標的病変を有していた13人において、1人は完全奏効にいたり、8人では病勢コントロールを維持していた。

 治療に反応した10人の患者(9人は標的病変あり、1人は非標的病変のみ)における奏効持続期間は5.8ヶ月以上で、中枢神経病変が奏効を維持した最長期間は24ヶ月だった。

 動物実験において、治療量でのEnsartinib投与はALK陽性細胞のIC50量の4倍量の中枢神経系濃度を示していた。

 加えて、EnsartinibはSH-SY5Y神経芽腫瘍モデル(F1174L遺伝子変異を有する)においても、中枢神経病変の増殖を抑制する点でCrizotinibより有意に有効だった。

 現在、Ensartinibの第III相試験(eXalt3 study)が進行中である。