腫瘍微小環境における炎症細胞プロファイルと免疫チェックポイント阻害薬の効果

 興味深い話だけれど、3桁くらいの患者を対象にして再検討してほしい。

ELCC 2017: Specific Immune Cell Profiles Potentially Identify Patients With Lung Cancer Responsive to Anti?PD-1 Immunotherapy

By The ASCO Post

Posted: 5/9/2017 1:24:23 PM

Last Updated: 5/9/2017 1:24:23 PM

 肺腺癌や肺扁平上皮癌患者の腫瘍組織微小環境内の免疫細胞サブタイプの解析により、一部のサブグループでは患者の生存期間が延長しており、Nivolumab療法の効果予測因子になりうることが報告された(ELCC 2017 abst. #2O)。

 外科的に採取された非小細胞肺がん組織について、解析を行った。無治療コホートとして、51人の腺癌患者、69人の扁平上皮癌患者、Nivolumab治療コホートとして8人の腺癌患者、10人の扁平上皮癌患者を対象とした。

 免疫ペルオキシダーゼ染色(H-score)と免疫蛍光染色を用いて、28-8抗体、22C3抗体、SP142抗体によるPD-L1発現レベルを評価した。1平方ミリメートルあたりの陽性細胞数、腫瘍内・腫瘍周囲・浸潤部辺縁の腫瘍浸潤リンパ球の局在と、そのリンパ球の亜型について解析した。

 免疫組織化学的データと診療記録を用いたカプランマイヤー解析では、腺癌ではCD3陽性細胞が扁平上皮癌の2倍多く、逆に扁平上皮癌ではCD4陽性細胞が腺癌の1.8倍多かった。腫瘍組織内に炎症細胞浸潤が多い腺癌患者群では、そうでない患者群より生存期間が10ヶ月程度延長していることがわかった。

 EGFR遺伝子変異陽性患者では、腫瘍細胞内の炎症細胞浸潤が乏しい傾向があった。

 PD-L1発現状態と炎症細胞浸潤状態によって、患者を4群に分類した。第I群(PD-L1高発現、炎症細胞浸潤高度)は少数で、全体の14.6%に過ぎなかった。第II群(PD-L1低発現、炎症細胞浸潤軽度)は非小細胞肺癌検体の1/3以上を占め、免疫応答の枯渇を思わせた。第III群(PD-L1高発現、炎症細胞浸潤軽度:ナチュラルキラー細胞およびグランザイムB陽性細胞増加を伴う)と第IV群(PD-L1低発現、炎症細胞浸潤高度:制御性T細胞増加を伴う)は同程度に認められた

 第III群では生存期間の延長が認められた。第III群の生存期間中央値は36.5ヶ月、無増悪生存期間中央値は27.6ヶ月だったが、第II群の生存期間中央値は25.7ヶ月、無増悪生存期間中央値は16.1ヶ月だった。PD-1低発現、CD8/CD3比高値の患者では、PD-1高発現、CD8/CD3比低値の患者と比して、生存期間が11ヶ月延長していた(p<0.01)。PD-L1高発現、PD-1低発現の患者群では免疫チェックポイント阻害薬に対する反応性が良好で、86%でNivolumab療法が奏効していた。