Best of ASCO 2018に参加して以降、この記事を書くタイミングをはかって、ずっと沈黙していた。
2018年7月31日付で、cobas ver.2を用いた組織・血漿EGFR遺伝子変異検査が承認された。
https://www.roche-diagnostics.jp/news/18/08/17.html
2018年8月21日付で、EGFR遺伝子変異陽性進行・再発非小細胞肺がんに対するオシメルチニブの一次治療が承認された。
https://www.astrazeneca.co.jp/media/press-releases1/2018/2018082101.html
これらが何を意味するかというと、
・非小細胞肺がんの初回診断時、生検組織でEGFR遺伝子変異が陰性だったとしても、リキッドバイオプシーでEGFR遺伝子変異が陽性なら、EGFR阻害薬を使用できる
・上記のEGFR阻害薬の中には、オシメルチニブも含まれる
ということだろう。
これはFLAURA試験の結果を受けているわけで、素直に考えれば、もはやゲフィチニブ、エルロチニブの出番はない。
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e913700.html
だけど、再生検でT790Mを検出する意義は、結局どうなってしまうのか。
再生検は、もはやお払い箱なのか?
公平を期するなら、
? 初回治療オシメルチニブ→病勢進行後の後治療は自由選択
? 初回治療オシメルチニブ以外のEGFR阻害薬→再生検後、後治療は自由選択
という臨床試験をした上で、?の方が優位な生存期間延長を示すのであれば、ゲフィチニブ、エルロチニブは過去の遺物としていいだろう。
ここ最近の識者の意見を聞いていると、易きに流れているように感じる。
「FLAURAの結果が出たのだから、EGFR陽性肺がんの初回治療はタグリッソ一択だろう」
「タグリッソから治療を開始すれば、再生検は不要だろう」
「NEJ009の結果が出たからと言って、タグリッソよりもカルボプラチン+ペメトレキセド+ゲフィチニブを選ぶことにはならないだろう」
という意見を、オピニオンリーダーから繰り返し聞かされる。
今回の適応拡大が、本来はゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブから始める方が望ましい患者さんたちの機会損失を招かなければいいのだが。