ペンブロリズマブ、アテゾリズマブ、適応拡大

 年の瀬を迎え、年末年始を病院で迎えざるを得ない患者さんが急性期病院からバタバタと転院してきている。

 そんなこんなで、すっかり日記を書くのが滞ってしまった。

 思えば、日常臨床を変える大きな保険承認は、ここ最近では年末にされることが多くなった気がする。

 12月に入り、免疫チェックポイント阻害薬の新たな可能性を開く承認が追加された。

・PD-L1発現にかかわらず、切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(非扁平上皮癌)に対する初回治療としてペメトレキセド+プラチナ製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)+ペンブロリズマブの併用療法が可能になった

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・PD-L1発現にかかわらず、切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(扁平上皮癌)に対する初回治療としてカルボプラチン+(パクリタキセルまたはナブ-パクリタキセル)+ペンブロリズマブの併用療法が可能になった

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・PD-L1陽性(TPS≧1%)の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に対する初回治療として、ペンブロリズマブ単独療法が使用可能になった

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・PD-L1発現にかかわらず、切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(非扁平上皮癌)に対する初回治療としてカルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ+アテゾリズマブの併用療法が可能になった

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 1%≦TPS<50%の患者の初回治療にペンブロリズマブ単剤療法を行うのは個人的には受け入れがたいが、要はPD-L1発現によらず、進行非小細胞肺がん患者の初回治療として化学療法+免疫チェックポイント阻害薬の併用が広く認められたということで、良い出来事なのだろう。

 もちろん、相応の有害事象を覚悟しなければならないということでもあり、患者・家族・医療従事者間での十分な相互理解、それぞれのスキルアップが肝要であることは言うまでもない。

 もはや医療従事者だけではなく、患者や家族にもスキルアップが必要だ。

 それだけ、コスト面も含めて、診療が複雑化していると感じる。

 今回の承認に先立って、尊敬する肺がん領域のオピニオンリーダーの先生から、本ブログの内容を院内レジメン登録の参考資料として使わせてもらっていいかと依頼を受けた。

 趣味でやっているこの日記が多くの患者さんの治療につながるのなら、望外の喜びであり、先生の責任の範囲内において、個人情報に配慮して二次利用していただくのは結構ですとお答えした。

 それから、今回の承認を受けて、ある製薬会社から「適応拡大の記念品」なるものが届けられた。

 記念品を頂くよりも、その分薬価を下げるとか、薬品安全情報の周知に努めるとかにお金を使ってほしいので、後日お返しするつもり。