オシメルチニブの初回治療が効かなくなったらどうするのか

 EGFR遺伝子変異陽性の進行肺腺がんに対して、オシメルチニブが初回治療で使えるようになってしばらく経過した。

 そろそろ初回治療後の病勢進行を迎えた患者さんもちらほら見かけるようになった。

 

 無増悪生存期間、全生存期間ともにゲフィチニブ/エルロチニブよりオシメルチニブの方が優れていそうなのはよく分かる。

 

 一方で、病勢進行後の治療はとなると、こんな感じ。

 ゲフィチニブ/エルロチニブの初回投与を受けた患者で、病勢進行ののちにT790M耐性変異が確認されてオシメルチニブの二次治療を受けられた患者は129人中55人(43%)、化学療法を受けた人は21%、他のEGFR阻害薬に切り替えた人は33%にも上った。

 オシメルチニブの初回投与を受けた患者で、病勢進行ののちに化学療法を受けた人は56%、他のEGFR阻害薬に切り替えた人は35%にも上った。

 EGFR阻害薬の初回治療後、有効性が定かでないにもかかわらず他のEGFR阻害薬に固執する人が、両群ともに全体の1/3にも上るということだ。

 初回治療を分子標的薬で始めた場合、二次治療以降で化学療法を導入する難しさを示唆しているようで興味深い。

 ペメトレキセドを軸としたプラチナ併用化学療法は、従来の化学療法に比べてずいぶん楽になった。

 EGFR阻害薬使用後に病勢進行を迎えた患者さんには、勇気をもって、前を向いて、化学療法にも取り組んでほしいと願っている。

 オシメルチニブ耐性化機序はC797S変異やMET増幅といった頻度の比較的高いものから少ないものまで非常に多岐にわたるようで、新規の治療開発は端緒についている(MET増幅による病勢進行後のオシメルチニブ+Savolitinib併用療法など)ものの、実地臨床で使えるようになるまでにはまだまだ時間がかかるだろう。

http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e805441.html

http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/d2016-07.html

http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e852243.html

http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e862939.html

Landscape of Acquired Resistance to Osimertinib in EGFR -Mutant NSCLC and Clinical Validation of Combined EGFR and RET Inhibition with Osimertinib and BLU-667 for Acquired RET Fusion

Piotrowska et al. Cancer Discov 1529-1539, 2018

 そうした治療の開発を手をこまねいて待つよりは、いま手元にある武器を最大限に活用すべきだ。