2019年 第59回日本呼吸器学会備忘録
International Poster Discussionという、企業ブースの片隅のような会場でひっそりと行われたセッションだった。
しかし、台湾から来日されていた先生のご発表は、とても示唆に富むものだった。
The Impact of Pre-treatment PD-L1 for EGFR-mutated Lung Adenocarcinoma
・referrences...
Collin et al., Nature genetics 2018
1st line Osimertinibが効かない患者集団を調べたところ、並存する他の遺伝子変異(CDK4/6 mutation)が認められた
Offin et al., Clin Cancer Res 2019
EGFR遺伝子変異陽性患者におけるtumor mutational burdenの報告
Solarge et al., AACR annual meeting 2017
PD-L1 と tumor mutational burden の解離
・EGFR遺伝子変異陽性の進行肺腺癌患者153人を対象に検討
ECOG-PS 0-1の患者は131人
EGFR遺伝子変異の内訳は、Exon 19: 65人、Exon 21: 73人、その他の変異: 15人
EGFR遺伝子変異陽性患者のPD-L1発現状況は、TPS>50%が18人、TPS 1-49%が39人、TPS 0%が96人
TPS>50%の患者では、EGFR阻害薬は無効だった
EGFR阻害薬による治療後、153人(100%)が病勢進行、再生検によりT790M変異を認めたのが91人
TPS<50%の患者では、高率にT790Mが陽性となった
EGFR阻害薬投与前後では、TPSは変化しなかった
・今後の展望
以下のような治療戦略を考えている、とのこと
EGFR遺伝子変異陽性かつTPS>50%→EGFR阻害薬+化学療法(NEJ-009 regimenなど)
EGFR遺伝子変異陽性かつTPS 1-49%→どの治療選択も可
EGFR遺伝子変異陽性かつTPS 0%→オシメルチニブ単剤療法
EGFR遺伝子変異陽性だとTPSを測定しないこともあるが、この報告を見ると測定した方がいい気になる。