2019年 第59回日本呼吸器学会備忘録その7 初回ICI-combo-therapy時代の治療戦略

2019年 第59回日本呼吸器学会備忘録

 免疫チェックポイント阻害薬と抗がん薬併用療法の展望

KEYNOTE-001 study

 Garon et al. NEJM

 n=1,235のphase I studyということ自体が、大きなパラダイムシフトだった

 phase Iの経過を見つつ、有望な治療群には追加の患者集積を行い、データに厚みを持たせる(expansion cohort)

 悪性黒色腫 n=655

 非小細胞肺癌 n=344

KEYNOTE-024 study

 TPS≧50%の患者群に絞って、第III相試験を行った

 1st line ペンブロリズマブ vs 1st line プラチナ併用化学療法

 結果はペンブロリズマブの圧勝で、世界の度肝を抜いた

KEYNOTE-021 study(phase II)

 Cohort A,B,C,D,E,F,Gが規定されていた

 A: CBDCA+PTX+ペンブロリズマブ 無増悪生存期間中央値10.3ヶ月、全生存期間中央値21.4ヶ月、奏効割合48%

 B: CBDCA+PTX+BV+ペンブロリズマブ 無増悪生存期間中央値7.1ヶ月、全生存期間中央値16.7ヶ月、奏効割合56%

 C: CBDCA+PEM+ペンブロリズマブ 無増悪生存期間中央値10.2ヶ月、全生存期間中央値16.7ヶ月、奏効割合75%

 G: CBDCA+PEM+ペンブロリズマブ vs CBDCA+PEM randomized

 本試験結果から、ペンブロリズマブ併用化学療法ではBVは不要との結論に至った様子

KEYNOTE-189 study(phase III) Garon et al., N Engl J Med. 2078-2092, 2018

 KEYNOTE-021試験から発展

 CDDP/CBDCA+PEM+ペンブロリズマブ vs CDDP/CBDCA+PEMにrandomized

 TPS高値であるほど、効果が高まる傾向にある

・REAL 2000 study(observational study)

 Characteristics and overall survival of EGFR mutation-positive non-small cell lung cancer treated with EGFR tyrosine kinase inhibitors: a retrospective analysis for 1660 Japanese patients.

 Inoue et al., Jpn J Clin Oncol. 2016 May;46(5):462-7.

 EGFR遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺癌患者を対象に調査

 gefitnib初回治療→病勢進行後化学療法を行った患者の5年生存割合は26.6%

KEYNOTE-407 study

 KEYNOTE-189 studyにおける薬剤性肺障害合併割合:4%程度

 KEYNOTE-021 studyにおける薬剤性肺障害合併割合:6%程度

・ペンブロリズマブ併用化学療法と日本人における薬剤性肺障害

 2018/11/19に発出されたペンブロリズマブの安全性情報によると、KEYNOTE-011 study(日本人におけるペンブロリズマブ併用化学療法の第I相試験)において、薬剤性肺臓炎で2人の死亡例が出ていたとのこと

 日本人はKEYNOTE-189 studyには10人しか組み入れられていなかった

 以上を受けて、KEYNOTE-189 studyにおいては、日本人拡大コホートが設定された

 日本人患者40人を2:1の割合でCBDCA+PEM+ペンブロリズマブ群とCBDCA+PEM群に割付、前者は25人、後者は15人組み入れ

 現在も18人、5人がそれぞれのプロトコール治療を継続している

 患者年齢層はそれぞれ34−77歳

 CDDP併用療法が行われたのは前者で18人、後者で8人(その他はCBDCA併用療法)

 薬剤性肺障害を合併したのは前者で0人、後者で2人

・IM power 150 study

 CBDCA+PTX+BV+アテゾリズマブを使用

 もともとはEGFR遺伝子変異,ALK融合遺伝子陽性患者も対象だったが、あとから除外された

・CheckMate-057試験

 ニボルマブ群には、3ヶ月以内に死亡した患者が20%も含まれる

 多発転移、PS不良の患者は予後が悪かった→当たり前だ

・CheckMate-722試験

KEYNOTE-789試験