全身状態が悪いALK陽性患者さんへのAlectinib(LOGiK1401)

 状態が悪い(=PS2以上)EGFR遺伝子変異陽性の肺がん患者さんにgefitinibが有効なことは既に示されていた。

http://ascopubs.org/doi/abs/10.1200/jco.2008.18.7658

 今回の報告は、同じくPS2以上のALK融合遺伝子陽性の肺がん患者さんにalectinibが有効かどうかというコンセプト。

 予想通りといえば予想通りだが、当たり前のことをきちんと示したことに意義がある。

 主要評価項目の奏効割合、副次評価項目のPS改善割合といった、比較的短期間で結論が出るエンドポイントについてはしっかり示された。

 一方、全生存期間や無増悪生存期間といった生存解析については、結論が出るには時期尚早で、もう少し経過観察期間をおいて見極める必要がある。

 

Alectinib for Patients with ALK Rearrangement-Positive Non-Small Cell Lung Cancer and a Poor Performance Status (Lung Oncology Group in Kyushu 1401)

Iwama et al., J Thorac Oncol 2017

・対象はPS 2-4のALK陽性、IIIB期 / IV期 / 術後再発腺癌患者

・1回300mg、1日2回でAlectinibを内服

・主要評価項目は奏効割合

・主な副次評価項目はPS改善割合

・2014年9月から2015年12月までに18人の患者が参加

・PS 2が12人(66.7%)、PS 3が5人(27.8%)、PS 4が1人(5.6%)

・stageIIIBが1人(5.6%)、stage IVが15人(83.3%)、術後再発が2人(11.1%)

・登録時点での脳転移合併患者は9人(50.0%)

 全脳照射後:5人

 開頭腫瘍摘出+定位脳照射後:1人

 未治療:3人

・前治療歴は、

 なし:13人(72.2%)

 Crizotinibのみ:1人(5.6%)

 化学療法のみ:1人(5.6%)

 Crizotinibおよび化学療法:3人(16.7%)

・追跡期間中央値は9.8ヶ月(5.6-18.0ヶ月)

・奏効割合は72.2%(90%信頼区間は52.9-85.8%)

 CR:2人(11.1%)

 PR:11人(61.1%)

 SD:1人(5.6%)

 PD:1人(5.6%)

 評価不能:3人(16.7%)

・Crizotinib治療歴のある患者での奏効割合は50.0%、ない患者での奏効割合は78.6%

・無増悪生存期間中央値は10.1ヶ月(95%信頼区間は7.1ヶ月−17.8ヶ月)

 →ただし、観察期間中央値(9.8ヶ月)の方が短いので、あくまで参考値

・クリゾチニブ治療歴のある患者、ない患者での無増悪生存期間中央値はそれぞれ4.8ヶ月、16.2ヶ月(p<0.0001)

・PSが改善した患者は18人中15人(83.3%)(90%信頼区間は64.8-93.1%、p<0.0001)

・PSが0もしくは1まで改善した患者は18人中13人(72.2%)