Alectinibの効果、果たしていつまで続くのか。
ALK阻害薬治療歴のないALK融合遺伝子陽性患者に対するAlectinibの有効性を検討するAF001JP試験、3年の経過観察期間をおいてもまだ生存解析の先行きが見通せないとのこと。
今回の論文では、Alectinibの効果の息の長さに驚いたが、同じくらい、共著者の利益相反の多さにも驚いた。
実に20以上の製薬会社から講演料を受け取っていると報告している共著者が複数いる。
たしか1社あたり年間100万円を超えなければ申告の必要はなかったはず。
共著者の利益相反申告だけで1ページの紙面が割かれているのって、どうなんだろうか。
Three-Year Follow-Up of an Alectinib Phase I / II Study in ALK-Positive Non-Small-Cell Lung Cancer: AF-001JP
Tamura et al., J Clin Oncol 35, 2017
・AF-001JP試験の第II相部分では有望な奏効割合(93.5%、95%信頼区間は82-99%)が示された
・参加した46人中、CRは2人、PRは41人だった
・今回、約3年の経過観察期間を経て、無増悪生存期間と全生存期間の解析を行った
・ALK融合遺伝子陽性で、ALK阻害薬治療歴がなく、少なくとも1レジメン以上の化学療法前治療歴を有するIIIB / IV / 術後再発のPS 0もしくは1の非小細胞肺がん患者を対象とした
・300mg/回、1日2回のAlectinibを服用してもらった
・最初の患者が登録されたのが2011年8月30日、最後の患者が登録されたのが2012年4月18日で、今回解析した時点は2015年9月10日だった
・解析時点において、AF-001JP試験の第II相部分に参加した患者46人のうち、25人はAlectinibの治療を継続していた
・解析時点において、21人はAlectinibの治療を中止していた
うち17人は次の治療を行っており、12人はAlectinib以外のALK阻害薬を使用していた
・病勢進行が確認された患者は18人(39%)で、無増悪生存期間はまだ中央値に達していなかった(95%信頼区間は33.1ヶ月以上)
・3年無増悪生存割合は62%(95%信頼区間は45-75%)だった
・治療開始前に脳転移を有していた14人の患者のうち、6人は無増悪生存していた
・治療開始前に脳転移を有していた14人の患者のうち、中枢神経病変による病勢進行を示したのは1人だけだった
・治療開始前に脳転移巣を有していた患者14人の無増悪生存期間中央値は38ヶ月(95%信頼区間は9ヶ月以上)だった
・男性患者22人の無増悪生存期間中央値は35.3ヶ月(95%信頼区間は18ヶ月以上)だった
・3年生存割合は78%で、13人は既に死亡していた
・全体の中でひとりだけ、発疹のためにAlectinibの減量が必要になった患者がいた
・6人は有害事象のために治療中断を余儀なくされた
Grade 3の脳浮腫:1人
Grade 3の食道癌合併:1人
Grade 3の腫瘍からの出血:1人
Grade 2の硬化性胆管炎:1人
Grade 3のALT上昇:1人
Grade 1の間質性肺疾患:1人
・登録時手で46人中15人はがん性疼痛、咳、痰に対する治療を必要としていたが、Alectinibによる治療経過中にこれら支持療法がほとんど必要なくなった