量子コンピューターと人工知能

 この数年というもの、人工知能の話題が尽きない。

 チェス、将棋、囲碁の世界で、人間が人工知能にかなわないのは、もはや当たり前になった。

 人工知能の社会進出によって様々な職種で人間が淘汰されると予測されているが、医師を含めた医療職もその中に含まれている。

 人工知能という言葉自体はそんなに目新しいものではない。

 スピルバーグ監督が映画を作るもっと前から、おぼろげな記憶では1980年代から、当時小学生だった私の耳にも届いていた言葉だ。

 しかし、当時と今では、人工知能という同じ言葉が指し示す概念は、かなり違ったものに見える。

 基盤となる理論や進歩が大きく変わってきたためなのだろうか。

 理論面では、深層学習という概念が良く取り沙汰される。

 コンピューター性能の向上と深層学習が相俟って、今日の人工知能の隆盛を築いているのだろう。

 調べ物をしていたら、たまたま興味深い記事に行き当たったので、取り上げておくことにした。

https://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2017_0627.html?utm_int=news_contents_news-closeup_001

 耳慣れない「量子コンピューター」なるものが6年前から登場しており、スーパーコンピューターを遥かに凌ぐ性能が期待されているらしい。 

 記事を読むと分かるが、その構造から性能まで、なんだかSF小説を読んでいるような感覚になる。

 しかし、「無数の化合物から最も薬効の高いものを選び出して、新薬開発につなげる」といった作業を得意とする、などと記載されると、より効果が高く、より副作用の少ない薬の開発に大きく寄与するのではないかと、期待してしまう。

 放射線治療の分野でも、「量子メス」なる次世代重粒子線治療開発プロジェクトが、産官合同で進んでいると聞く。

 これからのがん治療開発では、「量子」が新たなキーワードになるかもしれない。