今年も、もうすぐインフルエンザの季節がやってくる。
昨年は、免疫チェックポイント阻害薬とインフルエンザワクチンに絡めて、こんな記事を書いた。
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e920450.html
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e920876.html
昨年はワクチンが品薄だったが、今年は順調に供給されているようだ。
私も接種したが、翌日から風邪をひいて、1週間くらい調子が悪かった。
今年は、1回内服するだけで治療が完結するインフルエンザ内服治療薬、「ゾフルーザ」が使えるようになった。
1回だけで治療が終わる、という薬は、点滴のラピアクタ、吸入のイナビルが既に使用可能だが、内服ではゾフルーザが初である。
これでタミフルの使用頻度は格段に減るだろう。
関連資料を眺めていたら、「内服後、ウイルス排出停止までの時間のKaplan-Meier曲線」という、とても魅力的な資料が出てきた。
臨床試験における副次評価項目だった様子。
治療開始後、ウイルスを排出する患者の割合が半分になるまでの期間はゾフルーザで1日、タミフルで3日、抗ウイルス薬未使用で4日。
治療開始後、ウイルスを排出する患者の割合が1割以下になるまでの期間はゾフルーザで4日、タミフルで7日、抗ウイルス薬未使用で8日。
臨床試験における主要評価項目はインフルエンザ罹病期間で、抗ウイルス薬未使用よりもゾフルーザの方が短縮し、タミフルとゾフルーザでは同等だったとのこと。
がん患者さんへの伝播を予防する、という点では、患者さんのご家族がインフルエンザに罹った場合、ご家族にゾフルーザを使用して患者さんにうつすリスクを低下させる、という戦略はありだろう。