第39回日本呼吸器内視鏡学会総会、教育講演より
<局所麻酔下胸腔鏡の基本>
組織診断の重要性が増し、それとともに局所麻酔下胸腔鏡の需要も増すでしょう。
・セミフレキシブル胸腔鏡を導入している施設は日本全国に約180ある
・安全性の検討は、論文報告済み(鏑木ら、気管支学、2008年)、n=154
1)ポート挿入時の合併症
臓側胸膜損傷:2人(1.3%) 炎症を伴う胸膜癒着で注意
2)胸腔鏡操作中の合併症
出血:胸膜全層生検時には要注意、APC stand-byの状態で臨む
エアリーク
3)胸腔鏡終了後の合併症
再膨張性肺水腫:胸腔鏡施行前に胸水をある程度抜いておくとよい、ドレーン挿入後もクランプで排液量を調整する
皮下気腫:4人(2.6%)
感染:2人(1.3%) 出来るだけ早期にドレーンを抜くのが最大の予防策、できるだけ検査当日に抜く
・医療従事者の安全確保にも留意を
結核の可能性を考える
茨城県立中央病院では内視鏡検査室内に「体腔鏡ユニット」という局所麻酔下胸腔鏡・腹腔鏡専用の独立空調個室を整えた
・所見の記載
観察部位・範囲
ポート挿入の部位:左右、どの肋間か
胸水の性状:胸水穿刺時とは異なることがある
癒着の評価:繊維素性か、膿性か、胸腔鏡で剥離可能か
壁側胸膜の評価:胸膜肥厚は「肋骨が見えない」場合は高度、「血管が見えない」場合は軽度と記述する
血管の性状
隆起性病変の大きさ・色調・正常
壁側胸膜の評価:壁側胸膜の評価に準じる
横隔膜の評価
検査中の患者状態
合併症の有無
・治療手技
繊維素性癒着例:ウロキナーゼを使用する、必要に応じて複数のドレーンを留置する
膿性癒着例:嫌気性菌感染の関与を想定して、胸腔内掻爬を行って好気性環境にする
生食洗浄を行い、洗浄液が透明になるまで続ける