CheckMate026とTumor Mutation Burden

 残念ながらnegative studyに終わったNivolumabの初回治療臨床試験、CheckMate026。

 後解析の結果、腫瘍の遺伝子異常総量(Tumor Mutation Burden, TMB)が多いほどNivolumabの効果が高かったとのこと。

 先日の日本呼吸器学会総会でも、PD-L1発現よりもTMBの方が効果予測因子として優れているとの報告があった。

 TMBは現在進行中のLC-SCRUM IBISで測定可能とのことだが・・・、今のところはTMBが高かろうが低かろうが、PD-L1が陽性となった患者さんはみなPD-1阻害薬を使用したがるだろう。

 早い話が、喫煙等の環境によって多段階発癌のメカニズムで発生した腫瘍には免疫チェックポイント阻害薬が効きやすいということなのだろう。

 TMBが高いとNivolumabの奏効割合、無増悪生存期間がいいとのことだが、中等度か低い場合にどうかということは発表要約には記載されていなかった。

 実際のところ、どうなのだろう。

AACR 2017

CT082 - Impact of tumor mutation burden on the efficacy of first-line nivolumab in stage iv or recurrent non-small cell lung cancer: An exploratory analysis of CheckMate 026

背景:

 CheckMate026試験は、腫瘍細胞の1%以上がPD-L1を発現している未治療IV期非小細胞肺がん患者に対して、初回治療としてのNivolumab単剤療法とプラチナ併用化学療法を比較する無作為化比較試験である。本試験の結果、NivolumabはPD-L1発現率5%以上の患者において、有意な無増悪生存期間延長を果たせなかったが、化学療法と比較して毒性が軽度で、全生存期間はプラチナ併用化学療法と同等だった。探索的検討において、腫瘍の遺伝子異常総量(TMB)がNivolumabの治療効果予測に有用かどうかを調べた。

方法:

 ミスセンス変異、耐性遺伝子変異を対象に、腫瘍組織と血中DNAが十分に得られ、全エクソーム解析が可能な患者に対してTMBスコアを算出した。当初の解析で、TMBスコアによって患者を3群に分けた。TMBスコア0-99を低TMB群、100-242を中TMB群、243以上を高TMB群とした。

結果:

 総患者数541人のうち、312人(57.7%)がTMBを評価可能だった。高TMB群は化学療法群よりNivolumab群で少なかった(39.0% vs 29.7%)。患者背景、無増悪生存期間、全生存期間は、母集団とほぼ同様だった。高TMB群では、Nivolumab群で無増悪生存期間中央値は延長し(9.7ヶ月 vs 5.8ヶ月)、奏効割合は改善していた(46.8% vs 28.3%)。高TMB群では、全生存期間はNivolumab群、プラチナ併用療法群で同等だったが、これは化学療法群の65%が病勢進行後にNivolumabへクロスオーバーされたことによると考えられた。